働き方改革コラム

病院Vol.06
医師の時間外労働の上限規制で重要な「宿日直許可」って何?

2023/4/19

2024年4月からの医師の時間外労働の上限規制まであと1年
「宿日直」とは、ほとんど労働する必要のない勤務

宿日直とは

2024年4月から適用される医師の時間外労働の上限規制まで、あと1年を残すところとなった。上限を超えてしまうと罰則が課されるため、各医療機関では、体制の整備や労働時間の正確な把握など、それに向けた取り組みが進められている。

そこで重要なのが「宿日直」の取り扱いである。宿日直とは、「宿直」と「日直」を合わせた、労働基準法上の言葉。「当直」ともいう。宿直は夜間に、日直は日中に、ほとんど労働する必要のない勤務を指す。宿日直を行う医師は、診療時間外の医療機関で待機し、通常業務とは異なる、軽度または短時間の業務にあたる。

具体的には「少数の要注意患者に対して、問診等による診察や軽度の処置などや看護師等に対して指示、確認を行う」「外来患者の来院が想定されない休日や夜間に、少数の軽症の外来患者やかかりつけ患者に対して、問診等による診察や軽度の処置などや看護師等に対して指示、確認を行う」(参考1)などが挙げられる。原則として、宿直は週1回、日直は月1回を限度としている。

宿日直は許可を受ければ、労働時間に含まれない
2024年4月に向けて申請が活発化

この宿日直は、労働基準監督署の許可を受ければ、労働基準法上の労働時間規制が適用除外になり、以下のように取り扱える。

  • ・宿日直許可を受けた場合には、許可の範囲において労働時間とカウントされない
  • ・勤務と勤務の間の休息時間(勤務間インターバル)との関係で、許可を受けた宿日直(9時間以上連続したもの)については休息時間として取り扱える

つまり、宿日直が労働時間に含まれなくなるということだ。時間外労働の上限規制は、副業・兼業先も含めて規制の対象となるため、医療機関は医師の労働時間を、自機関以外での労働時間も含めて把握する必要がある。宿日直許可を受けている副業・兼業先において、仮に宿日直のみを行っている医師であれば、その宿日直は労働時間としてカウントされないので、医療機関は自機関の時間外労働の管理だけで済む。ただし、宿日直勤務中に、突発的な事故による緊急対応等、通常業務と同様の業務を行った場合は、労働時間に該当するので注意したい。

許可は、各医療機関が労働基準監督署に申請して受ける。診療科や職種、時間帯、業務の種類などに分けて許可を受けることも可能だ。昨年11月28日に厚生労働省の社会保障審議会医療部会で公表された「医師の派遣を受け入れている医療機関の宿日直許可の申請状況」(参考2)によれば、回答のあった4,018機関のうち、「取得済」「結果待ち」「準備中」とした医療機関は約6割(2,519機関)。その他、「申請を予定しているが、具体的な準備には着手していない」医療機関は742機関もあり、2024年4月に向けて、これからさらに活発化するだろう。また、宿日直の許可件数は年々増加し、2021年144件、2022年233件、2023年は、9月の段階ですでに734件に上り、前年の3倍超の件数になっているという。

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