働き方改革コラム

病院Vol.04
2024年4月から変わるのは時間外労働の上限規制だけ?

2022/11/30

上限規制とセットの「追加的健康確保措置」
連続勤務時間制限や勤務間インターバル

医師の時間外労働時間規制

医師の時間外労働時間規制が2024年4月から始まるのだが、実はこの上限を守るだけでよいというわけではない。B水準、連携B水準、C水準の特例水準は年1,860時間までの時間外労働が許容されるが、あくまで暫定的。最終的には年960時間以内に収めることが「医師の働き方改革」だ。そのため、やむを得ず年1,860時間の上限が適用される医師の健康を損なわないように、医療機関の管理者には「追加的健康確保措置」が義務として課される。

■追加的健康確保措置
・28時間までの連続勤務時間制限
「28時間」は、米国卒後医学教育認定協議会(ACGME)の例(参考1)を参考に、24時間に引き継ぎの時間、4時間を加算した時間にもとづく。労働基準法上の宿日直許可を受けている場合は除外。C水準のうち、C-1水準は原則15時間。
・9時間以上の勤務間インターバルの確保
「9時間」は、勤務日に最低限必要な睡眠(1日6時間程度)に前後の生活時間を加えた時間を確保できるようにすることを基本。宿日直許可のない当直明けの日については、18時間になる。
・代償休息の付与
連続勤務時間制限、勤務間インターバルを実施できなかった場合は代償休息を付与。対象時間を時間休の取得や勤務間インターバルの延長で対応する。
・面接指導と必要に応じた就業上の措置
月100時間を超える時間外労働の医師に対して、選定された医師が面接指導を実施。面接指導実施医師の意見を参考に、必要に応じて労働時間の短縮、宿直回数の減少など適切な措置を講じる。
追加的健康確保措置

追加的健康確保措置によって勤務シフトはさらに複雑化
労務管理システムの導入で管理を円滑化できるが、2024年4月まであまり時間がない

これらのことを実施するとなると、医師の勤務シフトが複雑になるのは必至。副業・兼業を行っている医師の場合は病院間での調整も必要になり、さらに複雑化する。2021年8月4日に開催された「医師の働き方改革の推進に関する検討会」(参考2)では、国が勤務シフト作成のアプリケーション等を提供することについて要望が挙がるなど、管理者の負担が大きくなることは明らか。円滑な管理を行うためにも、民間企業が提供する連続勤務時間制限、勤務間インターバル、代償休息等に対応した、勤務シフト管理をできる労務管理システムの導入を検討していく必要がある。

ここで注意すべきなのは労務管理などの基幹システムの導入には「時間がかかる」ということだ。

自院の就業規則、勤務体系、給与計算等と照らし合わせて、必要な機能の洗い出すことから始まり、それに合致するシステムを選定。その後は労務管理を自動化、省力化するためにルールを「設定」に落とし込む。勤務シフトも含め、ルールが複雑にならざるを得ない医療機関においては、この「設定」次第で業務効率がまったく変わってくる。導入後も設定を最適化したり、実際に利用する医師がシステムに慣れたりする時間も必要。2024年4月に向けてあまり時間がないのが現状だ。

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