働き方改革コラム

病院Vol.03
「時短計画」ってどうやってつくるの?

2022/11/9

特例水準の指定を受けるためには「時短計画」の作成が必須
時短計画をもとにPDCAサイクルを回して「働き方改革」を実現へ

時短計画

本来、医師労働時間短縮計画(時短計画)の作成は努力義務なのだが、時間外労働の上限を年1,860時間に引き上げるための特例水準(B水準、連携B水準、C水準)の指定を受けるためには時短計画を医療機関勤務環境評価センターに提出して第三者評価を受ける必要がある。また、A水準を予定している病院であっても、2023年度末までに所属するすべての医師の時間外労働時間を年960時間に収められなければ、急きょ指定を受ける手続きを始めなくてはならないので、あらかじめ時短計画の作成を進めておいたほうがよいと言える。

時短計画の作成方法については、2022年4月に「医師労働時間短縮計画作成ガイドライン(第1版)」(参考1)が厚生労働省から公表された。同ガイドラインによれば、時短計画は、医師の労働時間を短縮していくために、医療機関内で取り組む事項について作成するものであり、PDCAサイクルを回して、その取り組みを確実に前に進めることを目的としている。PDCAサイクルを実効的に回せる仕組みを医療機関内で構築していくことも併せて求められており、各医療機関において「医師の働き方改革」を実現する上で、時短計画は非常に重要な意味を持つ。

作成が目的ではなく実現することが重要
2024年4月に向けてやるべきことが山積み

時短計画は、各医療機関に共通して求められる事項(共通記載事項)と、医療機関の多様性を踏まえた独自の取り組み(任意事項)で構成される。

■共通記載事項
(1)労働時間数
以下の項目について「前年度実績」「当年度目標」「計画期間終了年度の目標」を記載する。
  • ・年間の時間外・休日労働時間数の平均
  • ・年間の時間外・休日労働時間数の最長
  • ・年間の時間外・休日労働時間数960時間超~1,860 時間の人数・割合
  • ・年間の時間外・休日労働時間数1,860時間超の人数・割合
(2)労務管理・健康管理
以下の項目について「前年度の取り組み実績」「当年度の取り組み目標」「計画期間中の取り組み目標」を記載する。
  • ・労働時間管理方法
  • ・宿日直許可の有無を踏まえた時間管理
  • ・医師の研鑚の労働時間該当性を明確化するための手続等
  • ・労使の話し合い、36 協定の締結
  • ・衛生委員会、産業医等の活用、面接指導の実施体制
  • ・追加的健康確保措置の実施
(3)意識改革・啓発
以下の項目のうち、最低1つの取り組みについて「前年度の取り組み実績」「当年度の取り組み目標」「計画期間中の取り組み目標」を記載する。
  • ・管理者マネジメント研修
  • ・働き方改革に関する医師の意識改革
  • ・医療を受ける者やその家族等への医師の働き方改革に関する説明
(4)作成プロセス
各職種が参加する委員会や会議、チーム等において計画の検討を行って作成したか、計画内容を医師に周知しているか等を記載する。
■任意事項

以下の(1)~(5)それぞれにおいて最低1つの取り組みについて「計画作成時点における取り組み実績」「計画期間中の取り組み目標」を記載する。

  • (1)タスク・シフト/シェア
  • (2)医師の業務の見直し
  • (3)その他の勤務環境改善
  • (4)副業・兼業を行う医師の労働時間の管理
  • (5)C-1水準を適用する臨床研修医及び専攻医の研修の効率化

同ガイドラインには時短計画のひな型や作成例が示されており、一見すると作成自体は容易な気がする。しかしながら、時短計画を作成することが目的ではなく、実現することが重要なので、医療機関内の制度の見直し、管理体制の再構築、医師への情報周知、「医師の働き方改革」に対応したシステムの導入等、2024年4月に向けてやるべきことが山積み。1日でも早く時短計画を作成し、「医師の働き方改革」に向けたプロジェクトを開始する必要があるのだ。

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