働き方改革コラム

病院Vol.01
「医師の働き方改革」って
結局何なの?

2022/9/28

社会的課題に対応していく取り組み
多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるように

医師の働き方改革

「働き方改革」は、2018年6月に成立した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(参考1、いわゆる「働き方改革関連法」)にもとづくものであり、2019年4月から順次施行。働き方改革の基本的な考え方は、働く人が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにすること。これによって日本が直面する「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「働く人のニーズの多様化」などの社会的課題に対応していく取り組みだ。

同法における主な改正点は以下のとおり。

①時間外労働の上限規制
それまでは法律上、時間外労働の上限なし(行政指導のみ)。改正により36協定で定めることのできる時間外労働の上限が原則、月45時間、年360時間に。違反企業には罰則が課される。
②「勤務間インターバル制度」の導入促進
勤務終了後、翌日の出社までに一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保。企業の努力義務。
③年次有給休暇の確実な取得
年5日間の取得を義務化。
④労働時間状況の客観的把握
裁量労働制が適用される人や管理監督者も対象に。
⑤「フレックスタイム制」の拡充
労働時間の清算期間の上限が1カ月から3カ月に。
⑥「高度プロフェッショナル制度」の導入
健康確保措置を前提として特定の対象労働者に対して労働基準法に定められた労働時間等を適用しない。
⑦月60時間超残業に対する割増賃金率の引き上げ
中小企業の割増賃金率を25%から50%へ。(大企業は以前から50%)
⑧雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
同一企業内の、正社員と非正社員間のあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることを禁止(同一労働同一賃金)。労働者に対する、待遇に関する説明義務の強化。行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続き規定の整備。

医療機関が2024年4月までに対応すべき「時間外労働の上限規制」
この「上限」は適用ルールが複雑なので事前準備が必要

同法の施行スケジュールは以下のとおり。

働き方改革関連法施行スケジュール

上図で分かるように、「時間外労働の上限規制」は職種や業務内容等によっては5年の猶予期間が与えられている。そこに「医師」が含まれており、「医師の働き方改革」「医療機関の2024年問題」などと取り上げられるゆえんだ。「自動車運転業務」「建設事業」「医師」はとりわけ長時間労働になりやすく、2018年7月に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(参考2)では、過労死・長時間労働の問題を抱える「重点業種」として挙げられている。

「医師の働き方改革」はすでに始まっていて、②~⑧は一般企業同様、すでに適用済み(⑦における中小企業規模の医療機関については2023年4月から)。残る①の「時間外労働の上限規制」に対して2024年4月までに対応していく必要があるということだ。ただし、医療機関の場合、一般企業と異なり、この「上限」が1つではない。一部の医療機関は、個々の特性や地域性等を考慮して、特例水準の指定を受けて、医師ごとに異なる適用を行う。複雑であるからこそ事前準備が必要で、2024年4月になったらやればよいということにはならない。

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