介護職員はなぜ女性が多い? 割合・給与データと働きやすさの理由を解説
2026/9/30

介護職員は女性が多い職種というイメージがあるが、実際の割合や年収、なぜ女性に選ばれているのかを正確なデータで把握できている人は多くないだろう。女性職員の採用・定着に悩む介護事業所にとって、実態を客観的に知ることは職場づくりの第一歩になる。
本記事では、介護職員における女性の割合や年収の実態をデータで整理した上で、女性が働きやすいとされる理由や、職場選びのポイント、キャリアアップの方法までを解説する。ぜひ、本記事を自社の採用・人材戦略の参考にしてほしい。
本記事のポイント
女性比率の実態を把握
介護職員の男女比を公的データから解説します。
女性に選ばれる理由を解説
働き方や再就職のしやすさを紹介します。
働き方とキャリアを紹介
職場選びや資格取得のポイントを解説します。
(1)介護職員における女性の割合
「介護職員は女性が多い」というイメージは広く知られているが、実際の割合を正確なデータで確認できている人は少ないだろう。ここでは、介護職員における男女比のデータを整理する。
・介護職員の男女比
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、介護職員(医療・福祉施設等、企業規模10人以上)の労働者は、男性が約35.4%、女性が約64.6%である。介護労働安定センターの調査でも、介護職員全体に占める女性の割合は70~75%程度で推移しており、業界全体として女性の比率が高い状態が続いている。
・なぜ介護職員には女性が多いのか
介護職員に女性が多い背景としては、多様な働き方を選択しやすいことや、未経験から仕事を始めやすいことなどが挙げられる。
介護サービスは24時間・365日必要とされる一方で、勤務形態は施設やサービス種別によってさまざまである。正社員だけでなくパートや契約職員などの雇用形態も多く、ライフステージに合わせて働き方を選択しやすいことが、介護職が女性に選ばれる理由の一つと考えられる。
また、介護職は資格や経験がなくても始められる職種が多く、出産や子育てなどによる離職後に再就職しやすい点も特徴である。働きながら資格取得を目指せる支援制度を設けている事業所もあり、キャリア形成を後押しする環境づくりが進められている。
(2)介護職員として働く女性の年収の実態
介護職に興味がある女性、あるいは女性職員の処遇改善を検討する事業所にとって、実際の年収水準を把握しておくことは欠かせない。ここでは、女性介護職員の年収データと、男女別の給与水準を整理する。
・女性介護職員の給与データ
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、介護職員(医療・福祉施設等、企業規模10人以上)として従事する女性の「きまって支給する現金給与額」は、月額266,700円である。年代別に見ると、経験年数の蓄積や役職への登用などに伴い、年収は上昇する傾向がある。こうした傾向は介護職に限らず、多くの職種に共通して見られる。
なお、経験や保有資格、役職などによって給与水準は変わるため、管理職への登用や資格取得によってさらに年収が上がる可能性がある。
・男女別に見る給与水準
介護職員(医療・福祉施設等、企業規模10人以上)の「きまって支給する現金給与額」は、男性が月額297,600円、女性が同266,700円であり、男女間で約3万円の差がある。
この差には、勤続年数や管理職比率、夜勤・宿直の実施状況、雇用形態などの違いが影響している可能性がある。介護職の給与は資格や経験年数、担当業務によっても変動するため、この統計のみで性別による給与差と断定することはできない。
(3)女性が介護職員として働きやすいとされる理由
介護職は、家庭と仕事の両立を目指す女性にとって働きやすい職種として紹介されることが多い。ここでは、その具体的な理由を整理する。
・シフト制による柔軟な働き方
シフト制を採用している職場では、勤務日や時間を調整できる場合も多く、ライフスタイルに合わせた働き方を選択しやすい。子どもの登下校や学校行事に合わせて時短勤務にしたり、休みを調整したりできる職場もあり、育児と両立しながら働きやすい環境づくりが進められている。
また、介護職には日勤中心のデイサービスや訪問介護、夜勤を含む入所施設などさまざまな勤務形態がある。訪問介護では直行直帰に対応している事業所もあり、自身の生活スタイルや家庭の状況に応じて働き方を選択しやすい点も、働きやすさにつながる要素の一つである。
・ライフイベントと両立しやすい環境
介護職には、短時間勤務やシフト調整など、ライフスタイルに合わせた働き方ができる職場もある。育児や介護との両立を支援する制度を設けている事業所もあるため、職場を選ぶ際には勤務時間や休暇制度、両立支援の実績などを確認するとよい。
こうした勤務環境や両立支援制度が整っている職場では、妊娠・出産や子育てなどのライフイベントを迎えた後も、継続してキャリアを築きやすい。
(4)介護職員に向いている人の特徴
介護職として長く活躍するためには、どのような特徴を持つ人が向いているのだろうか。ここでは代表的な特徴を整理する。
・コミュニケーションを大切にできる
介護の仕事では、利用者の話に耳を傾け、表情や様子の変化にも目を配りながら、一人ひとりに合わせて対応することが求められる。利用者やその家族、ほかの職員と適切にコミュニケーションを取ることは、信頼関係を築き、円滑に介護サービスを提供する上で重要である。
また、認知症の利用者への対応や、利用者の人生の最終段階に関わる場面など、状況に応じた判断が求められることもある。相手の気持ちを尊重しながら、落ち着いて対応できる人は介護職の仕事に適性があると言える。
・周囲と連携して仕事ができる
介護の現場では、利用者の状態やケア方法について職員同士で情報を共有し、連携しながら業務を進めることが欠かせない。自分の意見を伝えるだけでなく、ほかの職員の意見にも耳を傾け、必要に応じて相談しながら対応できることが重要である。
利用者により良いケアを提供するためには、職種や立場の異なるスタッフとも協力し、チームで取り組む姿勢が求められる。
(5)女性介護職員が活躍しやすい職場・施設選びのポイント
働きやすい職場に出合うためには、施設形態ごとの特徴や、事前に確認しておくべき事項を把握することが大切である。特に育児や家庭との両立を考えている場合は、自身のライフスタイルに合った勤務形態を選べるかどうかがカギとなる。ここでは、女性が職場を選ぶ際に押さえておきたいポイントを紹介する。
・施設形態ごとの適性
介護の職場には、老人ホームやデイサービス、訪問介護などさまざまな形態がある。チームで連携しながら利用者を支援したい場合は老人ホーム、レクリエーション活動に携わりたい場合はデイサービス、利用者と一対一でじっくり向き合いたい場合は訪問介護が向いている傾向がある。
自身の希望する働き方や得意なことに合わせて施設形態を選ぶことが、長く働き続けるためのポイントの一つである。
・職場選びで確認しておきたい3つのポイント
女性が介護施設を選ぶ際には、「希望の時間に勤務できるか」「休暇制度が整っているか」「急な休みの際に代わりの職員がいるか」という3点を重視するとよい。特に未就学児がいる場合は、産休・育休の取得実績や、体調に応じて業務内容を調整してもらえるかどうかも事前に確認しておくことが望ましい。
人員に余裕のない職場では、急な休みを取りづらく、精神的な負担になりやすいため、人手の確保状況も職場選びの重要な判断材料になる。
(6)介護福祉士資格の取得によるキャリアアップ
介護職として専門性を証明できる国家資格の一つである介護福祉士は、実務経験を積みながら実務者研修を修了することで受験資格を得られるため、働きながらの資格取得が可能である。資格を取得することで、資格手当の対象になったり、収入アップやより責任のあるポジションへのキャリアアップにつながったりする可能性がある。
介護福祉士試験の合格率は例年70~80%程度で推移しており、合格には所定の受験資格を満たした上で試験対策を行うことが重要である。
(7)女性の介護職員に関するよくある質問
Q1.介護職は女性のほうが多いのですか?
介護職は男性よりも女性の割合が高い職種です。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、介護職員(医療・福祉施設等、企業規模10人以上)のうち女性は約64.6%を占めます。ただし、調査対象や職種の定義によって割合は異なるため、データを見る際は対象範囲を確認することが重要です。
Q2.子育てしながら介護職として働くことはできますか?
子育てをしながら介護職として働くことは可能です。介護事業所には、パート勤務や短時間勤務、シフト調整など、ライフスタイルに合わせた働き方を選択できる職場があります。子育てとの両立を考える場合は、勤務時間や希望休への対応に加え、育児休業・短時間勤務制度の取得実績や、子どもの急な体調不良などに対応できる人員体制も確認するとよいでしょう。
Q3.介護職としてキャリアアップするにはどうすればよいですか?
実務経験を積みながら、介護福祉士などの資格取得を目指す方法があります。介護福祉士は国家資格であり、実務経験ルートでは、原則として3年以上の実務経験と実務者研修の修了などが受験資格になります。資格取得後は、資格手当の支給や、リーダー・管理職などへのキャリアアップにつながる可能性があります。
(8)まとめ
介護職員は女性の比率が高く、その背景には、パートや短時間勤務など多様な働き方を選択しやすいことや、未経験からでも挑戦しやすいこと、育児や介護との両立を支援する制度を導入する事業所が増えていることなどがあると考えられる。年収面では男女差が見られるものの、資格取得やキャリアアップによって収入を伸ばしていくことも可能である。
介護事業所として女性職員の採用・定着を進めるためには、勤務時間の柔軟性や休暇制度、人員体制を整え、女性が安心して長く働き続けられる環境を整備することが欠かせない。労務管理や勤怠管理が煩雑で対応に不安がある場合は、介護業界に対応した人事労務管理システムの導入も、職場づくりを進めるための選択肢の一つとして検討するとよいだろう。
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