製造業でのOJT活用術! 人材育成におけるメリット・デメリットを解説
2025/8/27

製造業では、安全性や正確性が求められる現場で即戦力を育成する必要がある。その中でも、実務を通じて業務を習得するOJTは、有効な教育手法として用いられる。
しかし、効果的なOJTの実施にはメリットだけでなく、いくつかの課題も存在する。本記事では、製造業におけるOJTの目的やメリット・デメリット、そして効果を高めるための具体策について解説する。
(1)製造業でのOJTの意義と目的
OJTは新人に対して職場の人間が実務を通して業務のノウハウやスキルを教育することを指す。製造現場では、製品や機械に関する専門的な知識や、細かな作業手順、安全管理など、業務ごとに必要なスキルが多岐にわたる。
そのため、実際の作業を通じて指導を受けるOJTは、現場で即戦力となる人材を育成する上で非常に有効だ。このように、製造業におけるOJTは、実務能力の習得と職場への適応を同時に進めるために効果的な手法である。
(2)製造業におけるOJTのメリット
製造業の現場では、即戦力となる人材の育成が求められる。その中でも、現場での実践を通じて学ぶOJTは、業務に必要なスキルや知識を効果的に身につける手法として広く導入されている。
ここでは、OJTが製造業にもたらす具体的なメリットについて解説する。
・社内の実環境を活用した教育
OJTの最大の特長は、職場内の実際の業務を通して指導を行える点だ。トレーナーや業務に必要な機械、道具など、必要なリソースは社内のものを活用できる。そのため、コストを抑えながら実践的な指導を行うことが可能である。
新入社員が新しい機械の操作方法や生産ラインの流れを実際の現場で学ぶことで、教科書やマニュアルでは理解しづらい部分でも、体感として覚えられる。器具の取り扱いや安全対策などの不安要素についても、その場で説明を受けられるため、安心して仕事に取り組めるようになる。
このように、OJTは単なる教育手段ではなく、新人の不安を和らげ、職場への定着を促すという面でも重要な役割を担っている。
・業務に必要なスキルを即時に習得
OJTは実務を通じて、座学では得られない知識を即時に習得できる。実際の生産ラインにおけるトラブルシューティングや効率的な操作方法など、体験を通じて学習する機会になるだろう。
例えば、新しい機械や装置の導入時には、操作マニュアルを読むだけでは対応し切れないこともあるが、OJTによって実際に操作を学ぶことで、短期間で知識やスキルが身につく。
また、トラブルシューティングや作業効率を高める操作方法などもスピーディに習得でき、組織全体のパフォーマンス向上にもつながるだろう。
・先輩社員との信頼関係の構築
OJTは新人社員に対して先輩社員が実務を通して業務指導を行う。疑問点があってもその場のコミュニケーションで解消でき、習熟度が高まるに連れて、双方の信頼関係を構築できるのが魅力である。
つまりOJTは、単にスキルを教えるだけではなく、人間関係を築く機会にもなる。実際の作業を通じて先輩社員と一緒に行動することで、自然と会話やコミュニケーションが生まれ、疑問点も即座に解決できるだろう。こうして築かれた信頼関係は、職場の雰囲気を良好に保つとともに、チームワークの向上にも寄与する。
(3)製造業におけるOJTのデメリット
OJTは実務を通じてスキルを習得できる効率的な教育手法だが、すべての企業や現場にとって万能な方法とは言えない。製造業においてのOJTは、現場の状況や人材のスキルに大きく左右されるため、OJTならではの課題も存在する。
ここでは、製造業におけるOJTの主なデメリットについて解説する。
・十分な時間を確保できない
トレーナーは、自身の通常業務と並行して新人の指導にあたることになる。急ぎの製造ラインの進行時などは、教育の優先順位が下がることも多く、指導に十分な時間を確保できない可能性があるだろう。
トレーナーは本来、知識や経験が豊富で重要な戦力である場合が多く、自身の業務と並行して新人の指導を行うのは負担が大きくなりがちである。忙しい時期にはOJTが後回しにされ、新人が放置されてしまうこともあり、教育の質にムラが生じてしまう恐れがある。
OJTを成功させるには、事前に教育のための時間を調整し、社内全体でOJTを支援する体制づくりが求められる。
・トレーナーのスキルが一定ではない
トレーナーとなる社内の先輩社員の業務スキルや指導レベルには個人差があるため、OJTで得られる成果は、トレーナーによってばらつきが生じるケースも多いだろう。担当者が自分の専門外の業務を教える場合は、誤った指導や不十分な説明が行われるリスクも考えられる。
これにより、新人の理解が不十分になったり、習得が遅れる可能性が高まったりしてしまう。このような課題を解決するためには、職場全体で「新人を育てる」という意識を持つことが重要だ。
トレーナーのみの責任にせず、協力し合って教育する体制づくりが大切である。
・習得できる知識に偏りがある
OJTのみだと、実践の中ではなかなか発生しない業務を習得する機会に恵まれない。OJTは、一連の製造プロセスの体系的・網羅的な知識の習得には向かない指導法だ。
実務の中では全体のプロセスを体系的に理解するような場面は限られるため、知識の偏りが生じやすいのである。そこで、OJTに加えて外部セミナーの受講などのOFF-JTの機会を設けることで、知識の偏りを防げば、よりバランスの取れた育成が可能になる。
(4)製造業でOJTの効果を高める方法
製造現場において、新入社員が即戦力として活躍するためには、実務を通じたOJTが欠かせない。しかし、OJTの効果を最大限に発揮するためには、計画性と組織全体の協力体制が必要だ。
以下では、製造業におけるOJTの成果を高めるための具体的な方法を紹介する。
・育成計画を策定しPDCAサイクルを回す
効果的なOJTのためには、事前の育成計画を策定することが大切だ。その際、突発的なトラブルやスケジュールの変更など、さまざまな要因で遅れが生じることが考えられる。
こうした遅れや変更を前提とした柔軟な育成計画を立て、計画の見直しにはPDCAサイクルを活用するようにしたい。計画に対する結果を、次の計画に生かせるような仕組みを繰り返すことで、OJTの精度も次第に高まっていくだろう。
・トレーナー任せにしない
OJTは一般的に、職場の先輩社員がトレーナーとして新入社員を指導する形で行われる。そのような性質上、トレーナーのスキルや方針に依存すると、トレーナーに対する負荷が大きくなり、結果として新入社員の習熟レベルに差が生じてしまう恐れがある。
そのため、トレーナーに対するフォロー役を検討するなど、会社全体でOJTを支える仕組みづくりが重要だ。
・新人社員への定期的なフォロー
新入社員は経験が浅く、自ら積極的に質問したり、悩みを打ち明けたりなど、主体的に動くことが難しいこともあるだろう。そのため、新入社員の成長度合いの確認や、さらなる成長に向けてのサポートを行えるように、面談などのフォローを入れるようにしたいものだ。
また、新入社員だけでなく、トレーナーに対してのフォローも重要なアクションだ。従業員一人ひとりが安心して働けるように、職場全体で協力して環境を整えていく必要がある。
・適切なフィードバック
成長の機会はOJTだけではない。OJT終了後に新入社員に対してフィードバックを行い、気付きを与えることで、今後の自発的な成長を促すことが可能になる。
新入社員はフィードバックを通して、身につけた能力や業務把握の度合いなどを振り返り、さらなる成長のためにどのような方法をとるべきかなど、今後の方向性を明確にしやすくなる。
このフィードバックは、今後の成長を促す「気付き」の機会となり、良い点、反省点を生かして学び続ける姿勢を育てられるだろう。
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