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製造現場で働き方改革を実現するための3つのポイントを紹介!

2025/10/22

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製造現場で働き方改革を実現するための3つのポイントを紹介!

働き方改革とは、働く人がそれぞれの事情に合った、多様な働き方を選べる社会を実現するための取り組みである。少子高齢化に伴う労働力人口の減少や、働き方の多様化に対応するために、働き方改革が必要とされている。

製造現場においても、人手不足に対応し、生産性の向上や、社員エンゲージメントの向上を図るために働き方改革が重要である。本記事では、労働力人口の減少に対する働き方改革の必要性、製造現場における働き方改革の重要性と、働き方改革を実現するポイントを解説する。

(1)日本の労働力人口

総務省労働力調査によると、2024年度の平均就業者数は6,793万人であった。これは、データが確認できる1953年以降で、最も多い人数である。2023年度と比較すると、37万人増加しており、特に女性就業者数は33万人と大幅に増加している。

生産年齢人口(15~64歳)が減少している中で、就業者数が増加している理由は、主に女性や65歳以上の就業者数が増加しているためである。しかし、今後は少子高齢化の進行に伴い、労働力人口が減少すると予測されている。

(2)なぜ働き方改革が必要なのか

働き方改革は、少子高齢化に伴う労働力人口減少や、働き方の多様化に対応するために、必要とされている。女性やシニアの就業者が増える中で、結婚、子育て、介護など、それぞれのライフスタイルや、キャリアプランに合わせた多様で柔軟な働き方を、働く人が選べる必要がある。

具体的には、長時間労働を是正し、リモートワークや、短時間勤務制度、時差出勤、フレックスタイム制など、時間や場所、さらには雇用形態などを自由に選べることが求められる。

(3)製造現場における働き方改革の重要性

製造現場においても、人手不足に対応し、生産性の向上、社員エンゲージメントの向上を図るために働き方改革が重要である。

・若年層離れによる人手不足の影響

製造業においては、労働力人口全体の減少に加え、若年就業者離れによって、多くの企業で慢性的な人手不足が深刻な問題とされている。若年層は、進学や就職の機会を求めて都市部に流入する傾向がある。

一方で、製造業の拠点である工場は郊外に設けられる場合が多いため、若年就業者の確保が難しく、人手不足を引き起こしやすいとされている。また、若年就業者はワーク・ライフ・バランスを重視する傾向があり、製造業交替勤務制が避けられる要因にもなっている。

製造業における「就業者数」「若年就業者数」「就業者数に占める若年就業者数の割合」について、推移は以下のとおりである。

  2002年 2023年
就業者数 1,202
万人
1,055
万人
若年就業者(34歳以下)数 384
万人
259
万人
若年就業者数の割合(製造業 31.4% 24.5%

このように、製造業全体の労働者数は2002年から2023年にかけて147万人減少している。また、若年就業者数は125万人減少し、就業者数に占める割合も約7ポイント低下しており、若年就業者が製造業から離れていることが分かる。

働き方改革を推進し、若年就業者をはじめ多様な人材がワーク・ライフ・バランスを保ちやすい職場環境をつくることが、人手不足の改善につながる可能性があるだろう。

・製造現場で求められる生産性の向上

製造業では、作業効率が製品の品質に大きな影響を及ぼすため、生産性を高めることが重要である。

製造現場で働く従業員には、体力面の負担だけでなく、品質や納期に関する精神面の負担もかかる。働き方改革により、働きやすい環境を整えて従業員の負担を軽減することは、生産性の向上にも寄与する。

また、2019年に「働き方改革関連法」が施行されたことにより、時間外労働の上限規制が設けられるとともに、年次有給休暇の取得が義務化された。人手不足の中で、これに対応するためにも、従業員一人ひとりの生産性を向上させる必要がある。

より短時間で、これまで以上の成果を出すことが求められている。このように、働き方改革を進めて生産性を高めることで、製品の品質向上、納期厳守などが実現し、企業の業績安定にもつながるだろう。

・生産性につながる従業員エンゲージメントの向上

働き方改革の推進は、従業員エンゲージメントの向上にもつながる。製造現場での業務は、簡単な作業を繰り返す場合もあるだろう。そのような状況では、充実感や達成感など、働きがいを感じにくい。モチベーションを維持できずに生産性が低下したり、離職につながったりする可能性がある。

働き方改革を進めるにあたっては、従業員とのコミュニケーションを通じて、考えや要望の把握が欠かせない。そして、労働環境を改善するとともに、積極的に従業員とコミュニケーションを図り、従業員エンゲージメントを高めることが重要である。

従業員エンゲージメントが高まると、仕事へのやりがいを感じやすくなり、生産性の向上や、離職率低下につながる。さらには、企業の業績向上に寄与する可能性もあるだろう。

このように、働き方改革を通じて従業員エンゲージメントを高めることは、企業にとっても大きな意義がある。

(4)働き方改革を実現する3つのポイント

ここでは、働き方改革を実現する3つのポイントを解説する。

・現状調査と分析

製造現場の働き方改革を実現させるには、まず現状の把握と分析が必要である。

具体的には、就業規則に規定された労働時間や休日が順守されているかどうかを確認したり、勤怠データから残業の実態や有休取得率を把握したりする。

そして、会社全体の業務の流れを確認し、各業務に要している時間を把握することで、改善ポイントが見えてくる。

・業務のデジタル化

書類や図面のペーパーレス化を実施するのも、製造現場で働き方改革を進めるポイントである。

ペーパーレス化すると、データの検索がスムーズになるため、作業時間を短縮できる。また、書類を保管していた場所も有効活用できるだろう。

さらに、クラウドサービスを利用すると、データの共有を容易にできる。例えば、製造現場、事務所、社外など、場所を選ばず必要なデータへアクセスできるので、作業の効率化を図れる。

このように、業務のデジタル化は生産性の向上に有効である。

・製造現場におけるAIIoTの活用

製造現場でも、AIIoTの導入は生産性向上に効果的であり、検品や在庫管理などの業務に活用されている。従来、検品作業は目視で行われていたため、担当者によって品質にばらつきが生じる可能性があった。

現在では、製造業の企業でも、画像認識AIを導入する例が増えており、品質を一定に保てるだけでなく、24時間体制での検品も可能になっている。こうしたAIIoTの活用は、従業員の負担軽減や業務の効率化、生産性の向上に寄与している。

(5)まとめ

総務省労働力調査によると、2024年度の就業者数は、データが確認できる1953年以降で、最も多い人数であった。就業者数が増加した理由は、女性や65歳以上の就業者数が増加しているためである。

しかし、今後は少子高齢化に伴い、労働力人口が減少すると予測されている。労働力人口減少や、働き方の多様化に対応するために、働き方改革が必要とされている。

製造現場においても、人手不足に対応し、生産性の向上や、社員エンゲージメントの向上を図るために働き方改革が重要である。製造現場における働き方改革を実現するポイントは、まず現状調査と分析を実施し、そして業務のデジタル化を図り、AIIoTを活用することである。

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