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トラック運転手の勤務時間に影響! 改善基準告示の改正ポイント3つを解説

2026/3/11

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トラック運転手の勤務時間に影響! 改善基準告示の改正ポイント3つを解説

2024年4月1日に改正・施行された改善基準告示により、トラック運転手の拘束時間の上限や休息に必要な時間が大きく見直された。これは、自動車運転者に適用される労働時間規制の強化と、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制(年960時間)の導入が重なったことにより、従来の特例的な運用が大きく転換されたものである。

労働環境の改善が期待される一方、労働時間短縮に伴う輸送力不足は深刻で、物流や運送業界では2026年現在も対応が続いている。

本記事では、「2024年問題」を経て2026年までに見えてきた実態や、改善基準告示の具体的な改正内容、勤務シフトで注意すべきポイントを整理して解説する。

(1)物流や運送業界の「2024年問題」後のトラック運転手の勤務実態

2024年4月の改善基準告示の改正により、トラック運転手に適用されていた労働基準法上の一部特例が終了し、拘束時間休息時間がより厳しく管理されるようになった。

この特例は、働き方の特殊性を考慮して定められたものだったが、運転手の健康リスクへの影響が問題視されていた。結果的に、改善基準告示が改正され、従来の特例は2024年3月末で終了した。また、同年4月からは働き方改革関連法により、時間外労働の上限規制(年960時間)が自動車運転者にも適用され、労働時間に関する法的枠組みが大きく転換された。

これにより労働環境の改善が期待される一方、運転時間や残業時間が制限されることで賃金水準への影響を懸念する声もあった。また、運送会社においては、運行計画の変更や運転手の増員などの面で対応が求められている。

特に運転手不足が深刻で、社会全体にとっても輸送遅延や運賃の値上げなどの影響が出ている。2026年現在も、運送会社では増員確保の難しさや荷主側との調整など課題が続いており、改善基準告示の影響は業界全体の構造的なテーマとして継続している。

(2)改善基準告示の改正ポイント3つ(2024年4月施行)

改善基準告示は、トラックやバスの運転手などの自動車運転者の労働環境をより良くすることを目的として、拘束時間休息時間の取り扱いをルール化したものである。

拘束時間は、労働時間と休憩時間を合わせた始業から終業までのすべての時間のことを指す。その一方で休息時間とは、仕事を終えてから次の仕事が始まるまでに確保された連続する休養のための時間を言い、その時間に何をするかは運転手が自由に選択できる。

2024年4月の改正により、以下の点が大きく変更された。

・1年間の拘束時間は3,300時間以内

運転手が1年間で拘束される時間の上限が3,300時間に引き下げられた。以前は1年間で3,516時間まで許可されていたが、現在は原則3,300時間。そのため、年間を通じて216時間短縮する必要がある。

・1カ月の拘束時間は284時間以内

従来の293時間から284時間へ短縮された。月単位での運行計画見直しが必須になる。

運送会社は、どのような方法で拘束する時間を減らすかを考えなければならない。荷物を積み下ろすための待機時間や荷役時間は、比較的見直しの余地があるとされている。

休息時間は基本11時間以上、9時間を下回らない

基本的に、運転手が勤務を終えた後は休息を少なくとも11時間確保しなければならず、9時間より短くなってはいけないことが新しく定められた。以前は、休息を8時間以上確保すれば足りていたため、より厳しい基準が適用されている。

ただし、例外的に長距離輸送に宿泊が付随して生じる場合については、週2日までであれば9時間ではなく8時間以上の休息でよいことが認められている。長距離輸送に宿泊が付随して生じる場合とは、450km以上の貨物運送で、自宅に戻らず運送先やその途中の宿泊施設などで休息を取ることを指す。

長距離輸送に例外を適用する場合は、その終了後に必ず連続した休息を12時間以上与える必要がある。

(3)労使協定により延長できる例外

改善基準告示で定められた上限は、労使協定を締結することで一部延長が可能である。ただし、延長には条件があり、恒常的な長時間労働を認めるものではない。

協定では、対象者、有効期間、年間および月ごとの拘束時間、内容の変更時の手続き方法などを明記する。協定の締結にあたっては慎重な対応が求められる。労使協定を取り交わした際に設けられる例外による労働時間の延長や条件について詳しく説明する。

・1年間の拘束時間は最大3,400時間

運転手が年間で拘束される時間については、通常は長くても3,300時間までと決められているが、労使協定を取り交わすことで例外的にプラス100時間した3,400時間が上限になる。なお、これは業務の繁忙期など限定的な事情に対応するための例外措置である。

ただし、あくまで年間の合計に限るため、1カ月の最大は310時間。そのため1年間の合計時間だけでなく、月単位の時間管理にも気をつけなければならない。

・1カ月の拘束時間は最大310時間

労使協定で284時間からプラス26時間まで延長が可能であるが、以下の制約がある。

  • ‐年間6カ月まで
  • ‐連続3カ月を超えて284時間超とすることは不可
  • ‐1カ月の時間外+休日労働が100時間未満

時間を延ばすことは許可されているが、その運用には限度があるため、月ごとの上限管理や年間を通じたバランスの調整が不可欠である。

(4)トラック運転手の勤務シフトで注意すべき3つのポイント

運転手の勤務シフトを組む際に注意すべき時間管理のポイントは、以下の3つである。

①1日の拘束時間は最大15時間まで

運転手の1日の勤務時間は、原則13時間までとし、やむを得ず延ばす場合でも15時間が限度と定められている。もし労働時間が13時間より長くなる場合には、14時間を超過する回数をなるべく少なくする努力をしなければならない。

勤務が14時間以上に及ぶのは、多くても週に2回程度が目安とされ、連続で発生しないように注意する必要がある。また、長距離輸送に宿泊が付随して生じる場合は、勤務を16時間まで延ばすことが例外的に許可されている。ただし、この例外を適用するのは週2回までが限度である。

②1日の運転時間は9時間以内

運転手の1日における運転時間の限度は、以前と同じ9時間である。1日あたりの運転時間は、特定の日を起点として2日間の平均で算出される。

さらに、1日単位の上限とは別に、1週間単位でも上限が設けられ、長くても44時間までと定められている。1週間あたりの運転時間は、特定の日を起点として2週間の平均で算出される。

③連続運転時間は最大4時間まで

継続して運転できる時間は、以前と同じ4時間が限度である。また、4時間経過直後は30分以上の休憩を取って、運転を中断する必要がある。30分以上の休憩は分割することが可能だが、1回あたりの休憩は10分以上でなければならない。

サービスエリアやパーキングエリアが満車などの理由で駐車できない場合は、例外的に連続した運転時間を4時間半まで延長できる。しかし、4時間半以上の延長はできないため、リスクを避けて計画的に休憩を取るのが賢明だろう。

(5)トラック運転手の勤務時間に関するよくある質問

Q1.改善基準告示の改正は、すべてのトラック運転手が対象ですか?

はい、原則として貨物自動車を運転するトラック運転手が対象です。
正社員契約社員パートなど雇用形態に関係なく、自動車運転者として業務に従事する場合は、改善基準告示の規定が適用されます。

Q2.労使協定を結べば、必ず勤務時間を延ばせますか?

いいえ、労使協定を締結した場合でも、無制限に延ばせるわけではありません。
年間最大3,400時間、月最大310時間などの上限が定められており、適用できる月数や連続回数にも制限があります。あくまで繁忙期などに対応するための例外的な措置です。

Q3.改善基準告示に違反すると、どのようなリスクがありますか?

改善基準告示に違反した場合、労働基準監督署からの是正指導や監査対象となる可能性があります。また、是正勧告への対応や運行体制の見直しが求められるだけでなく、企業の信用低下や採用・定着への悪影響につながることもあります。

(6)まとめ

2024年4月の改善基準告示改正は、トラック運転手の労働時間や休息時間の基準を大きく変えるものとなった。2026年現在も、長時間労働の抑制と輸送力確保の両立が物流業界や運送業界の大きな課題になっている。

改善基準告示の内容を正しく理解し、運行計画・荷主調整・システム導入などを通じて持続可能な労働環境を整えることが求められる。

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