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トラック運転手不足が深刻化する原因とは? 企業のリスクや解消策を解説

2026/5/13

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トラック運転手不足が深刻化する原因とは? 企業のリスクや解消策を解説

運送業界では、以前からトラック運転手の不足が続いていたが、「2024年問題」により、その影響が業務の現場でより顕在化している。有効求人倍率を見ても、全産業と比べてトラック運転手の不足が際立っていることが分かる。

本記事では、運送業界の現状をひもとき、人手不足が深刻化する要因やそれによる企業が抱えるリスク、そして人手不足を解消する方法を解説する。

(1)運送業界の現状

トラック運転手は、厳しい労働環境のため、以前から人手不足が課題だった。さらに、働き方改革関連法により、2024年4月から、運転手の時間外労働に上限規制が罰則付きで適用された。この上限規制の施行により、トラック運転手の長時間労働の是正が進む一方、労働時間の制約が強まったことで、人手不足がより顕在化した。これを「2024年問題」という。

厚生労働省の職業安定業務統計によると、2025年平均の有効求人倍率は、全産業で1.22倍であるのに対し、トラック運転手は2.61倍であり、人手不足が顕著に表れている。

また、財務省が発行する広報誌「ファイナンス」では、2024年問題の輸送力不足について対策しなければ、2030年には34%の輸送力が不足すると見通している。このように、運送業界において、トラック運転手不足は大きな課題である。

(2)運送業界における人手不足の要因

ここでは、厚生労働省の「統計からみる運転者の仕事」を参考に、トラック運転手の不足を招く5つの要因を解説する。

・労働条件が悪い

トラック運転手の平均年収は、全産業と比べて低く、労働時間が長いことが人手不足を招く要因と考えられている。トラック運転手と全産業の、平均年収および労働時間は、以下のとおりである。

職業 平均年収 平均年間労働時間
運転手(小型・中型トラック) 437万円 2,424時間
運転手(大型トラック) 492万円 2,484時間
全産業 527万円 2,052時間

このような、労働条件の悪さは、人材定着や採用に至らない原因の一つである。

・高齢化

道路貨物運送業の年齢構成比は、50歳以上が50%を超えている。また、道路貨物運送業と全産業で比較すると、就業者の年齢構成比は、以下のとおりである。

  15~29歳 30~44歳 45~59歳 60歳以上
道路貨物運送業 10.1% 24.7% 46.0% 19.7%
全産業 16.9% 26.9% 34.3% 22.0%

道路貨物運送業は、全産業と比べて15~29歳の割合が少なく、45~59歳の割合が高いため、今後ますます高齢化や、高齢運転手の退職による人手不足が進む可能性がある。

・女性の進出が進んでいない

全産業では就業者のうち、女性が45.5%の割合を占める一方、道路貨物運送業においては、その半分以下の同20.7%にとどまっている。(総務省「令和6年 労働力調査」)全産業と比べ、道路貨物運送業では女性の割合が極めて低いことが分かる。

これには、次のような理由が考えられる。

  • ‐身体的な負担が大きい(長時間労働、重い荷物の取り扱い等)
  • ‐トイレや更衣室の環境が整っていない
  • 育児休業や再雇用制度が整っていない

女性の進出が進まないことも、人手不足を招く要因に挙げられる。

・輸送需要の増加

トラック運転手が不足している一方で、インターネット販売(EC)の普及により、宅配便の取り扱い個数が増加していることも、人手不足を招く要因である。

国土交通省によると、2024年度の宅配便の取り扱い個数は、50億3,147万個で、前年度と比較して2,414万個増加した。さらに、時間指定や再配達も運転手に負担をかけている。

・運転免許制度の改正

2017年の運転免許制度改正により、普通免許で運転できる車両は、最大積載量2トン未満、車両総重量3.5トン未満に変更された。これを超える車両を運転するには、準中型免許以上が必要になる。

そのため、2017年3月12日以降に普通免許を取得した人がトラック運転手を目指す場合、準中型免許の取得が必要になるケースがあり、時間や費用の面でハードルが上がる。結果的に、若手の流入を妨げ、人手不足を深刻化させる要因の一つとされる。

(3)人手不足が続いた場合に企業が抱えるリスク

トラック運転手の不足が続くと、売上の減少、法令違反、運転手の負担増加などのリスクが生じる。健全な経営を継続するためには、人手不足を解消する必要がある。

ここでは、トラック運転手の不足が続いた場合に、企業が抱えるリスクをそれぞれ解説する。

・売上の減少

トラック運転手の不足が続くと、売上を減少させる以下のような状況を招く恐れがある。

  • ‐人手不足により注文を受けられない
  • ‐配送が遅延して信頼を失い顧客が離れる

特に、時間が指定されている荷物の配達が間に合わない場合や、緊急の配送依頼を受けられない場合に、顧客満足度が低下しやすい。顧客離れを防ぎ、企業が成長を続けるためには、人手不足の解消が重要になる。

・法令違反の危険性

企業の人手不足が続くと、法令違反を犯すリスクが高まる。人手不足により、運転手1人当たりの業務が増加すると、法律で定められている時間外労働や連続運転時間、休息時間などに影響し、違反になってしまう可能性がある。

加えて、安全運転管理の義務を守れなくなる可能性もある。人手不足で運転手が疲れたまま運転する状況が続くと、事故のリスクも高まり、結果として企業が責任を問われるケースも出てくる。

・運転手の負担が増す

運送業界で人手不足が進むと、在籍する運転手への負担が大きくなる。長時間労働が常態化し、運転や荷物の積み下ろしといった過酷な作業が続くことで、健康被害のリスクが高まる。

加えて、不規則な勤務形態や長時間労働によりワーク・ライフ・バランスが崩れ、家庭やプライベートの時間を確保できず、生活の質が低下してしまう。このような状況は、モチベーションの低下や離職にもつながり、悪循環を招く。

(4)企業が取り組むべきトラック運転手不足の解消策

ここでは、企業が取り組むべきトラック運転手不足の解消策を解説する。

・労働環境を改善する

ここまで紹介したとおり、トラック運転手は、全産業と比べて年収が低く、労働時間は長い状況にある。賃金の引き上げや時間外労働の削減、休暇をとりやすくするなど、労働環境を改善することは、定着率の向上や、ワーク・ライフ・バランスを重視する若手運転手の確保につながる。

また、女性の進出を促すためには、以下のような環境整備が求められる。

  • ‐女性専用の更衣室・トイレ・シャワー室を設置
  • ‐負担の少ない業務への配置
  • パートタイムや柔軟な勤務時間を選択できる体制を整備

・採用条件を見直して幅広い人材を採用する

人手不足を解消するには、従来の採用条件にこだわらず、幅広い人材を採用する姿勢が必要である。労働環境や体制を整えることで、年齢や経験年数など、条件の幅を広げられる。

教育体制や資格支援制度を構築し、働きながらスキルアップできる環境を整えると、それまで採用時に必須としていた資格を省ける可能性がある。また、短時間勤務制度フレックスタイム制度を導入し、柔軟な働き方を選択できるようにすることで、幅広い人材の確保につながる。

・外国人材を採用する

外国人労働者の受け入れは、労働力不足を補う有効な方法であり、運送業界でも注目されている。トラック運転手として採用する場合、「特定技能1号」を持つ人材を受け入れることができる。

特定技能1号の取得には、日本語能力検定や特定技能試験に合格する必要があり、即戦力として期待できる人材に出会える可能性が高まる。

ただし、特定技能1号を持つ外国人材を受け入れる場合、企業側も新任運転者研修の実施や自動車運送業分野の特定技能協議会への入会など、定められた複数の条件を満たす必要がある。また、採用にあたっては、在留資格や運転免許の管理、交通法規や安全運転に関する教育、日本人と同等の労働条件や待遇、日本文化や日本語に関するサポートなども求められる。

外国人材を採用できる体制を整備し、積極的に受け入れることは、労働力不足を解消する一手となる。

・広報活動を積極的に行う

特に若手は、インターネット上で、就職に関する情報を収集する傾向が強い。そのため、SNSやホームページ上で情報を発信することは、人材確保を円滑にする。自社の取り組みや、アピールポイント、キャリアパスなどを紹介し、自社の魅力を伝えて、業界のマイナスイメージを払拭することが重要である。

・業務の効率化を図る

業務の効率化を図ることも、人手不足を解消する手段の一つである。

運転手の業務効率化には、以下のような方法がある。

  • ‐積載率向上
  • ‐トラックの大型化
  • ‐共同配送やラウンド配送(輸送先に荷物を下ろしたトラックが、別の荷物を積み込んで戻る)の導入
  • ‐モーダルシフト(自動車による貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用に転換すること)の導入
  • ‐配送ルート最適化システムの導入
  • ‐荷待ち時間の削減

人手不足を解消するには、人材確保と併せて、ITやIoTも活用しながら、業務の効率化に取り組むことも大切である。

(5)まとめ

トラック運転手の不足は、長時間労働や低賃金といった従来の構造的課題に加え、自動車運転手に対して、2024年4月に適用された時間外労働の上限規制の影響を受け、より深刻化している。人手不足が続けば、売上の減少や法令違反、事故リスクの増加など、企業経営に直結するリスクが高まる。

一方で、労働環境の改善や採用条件の見直し、外国人材の活用、業務効率化といった取り組みにより、人材確保と生産性向上の両立を図ることは可能である。持続可能な物流体制を構築するためには、短期的な人員確保にとどまらず、長く働き続けられる環境づくりを企業全体で進めていく姿勢が求められる。

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