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建設業で女性活躍を推進するには? 現状の課題と実現に向けたポイントを解説

2026/2/12

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建設業で女性活躍を推進するには? 現状の課題と実現に向けたポイントを解説

少子高齢化で人手不足が深刻な日本。特に建設業では、熟練技能者の高齢化と若手の減少により、新しい働き手の確保が大きな課題になっている。この問題を解決するには、これまで十分に活用されてこなかった女性の活躍推進が求められる。

女性が建設業界で能力を発揮できる環境を整えることは、単に人手不足を解消するだけでなく、業界全体の活性化と新しい価値の創造にもつながる。本記事では、建設業での女性の働き方や定着を妨げる要因、女性活躍を進めるメリット、そして具体的な方法を解説する。

(1)建設業界における女性の労働実態

建設業界では女性比率が他産業に比べて低く、深刻な課題となっている。なぜ女性の参入が進まないのか、その背景と求められる役割を解説する。

建設業は従業員の女性比率が低い

建設業は、これまで長年にわたって男性中心の業界として発展してきた歴史を持つ。そのため、業界全体の従業員に占める女性の割合は、ほかの産業と比べても著しく低い水準にとどまる。総務省労働力調査によれば2024年は、全産業で女性比率が45.5%であるのに対し、建設業は18.2%。技能者に限れば、わずか2.5%にすぎない。

これは、単に建設業のイメージが女性にとって魅力的でなかったり、実際の労働環境が働きにくかったりするだけではない。長年にわたり、仕事の内容を性別で分けるという意識が社会や業界の中に深く根付いてきたことも、女性の参入を阻む大きな要因であると考えられる。

建設業で女性の活躍が求められる背景

建設業では、熟練技能者の高齢化と若手の減少で深刻な人手不足が課題だ。この状況を変えるには、男性だけでなく、さまざまな人が活躍できる環境を整え、働き手の幅を広げることが欠かせない。

特に女性は、これまで十分にその能力が発揮されてこなかった。女性が働きやすい環境をつくれば、建設業界の間口が広がり、多様な価値観や経験が組織に新たな視点をもたらすことにつながるだろう。

こうした背景から、国も建設業界における女性活躍・定着促進について、2014年、2020年に計画を策定し、官民一体で女性活躍の動きを進めている。

(2)建設業で女性が定着しにくい理由

建設業界における女性活躍推進の動きが加速する一方で、依然として女性が定着しにくいという現実がある。そこには、「女性には無理だという固定観念」や「女性に配慮した設備の未整備」など、業界特有の構造的な課題や、社会的な意識が深くかかわっている。

ここでは、女性が建設業で働き続けることを妨げる、主な要因について掘り下げていく。

・女性に配慮した設備の未整備

建設現場や事業所では、長らく男性が多数を占めてきたため、女性に配慮した設備が十分に整備されていないケースが多く見られる。特に、女性専用のトイレや更衣室、休憩スペースなどが不足していることは、女性労働者にとって大きなストレスになるだろう。

現場によっては、仮設トイレのみで男女共用だったり、着替えや休憩を取る場所が確保されていなかったりする状況も珍しくない。女性が安心して、快適に業務に集中できる環境を整えることは、女性活躍推進に必要不可欠な要素である。

・産休や育休制度の不足

男性中心の業界であったがゆえに、出産や育児に関する制度が十分に整備されていない企業も少なくない。たとえ形式的には制度があったとしても、実際には利用しにくい雰囲気があったり、復職支援が不十分であったりする場合には、女性は将来的なキャリア形成に不安を感じ、離職を選択せざるを得なくなるのが現状だ。

女性が安心して働き続けられる環境にするためには、産休・育休制度の充実と、それらを活用しやすい組織の風土をつくり上げることが大切である。

・女性には無理だという固定観念

建設業は「きつい」「体力が必要」というイメージが強く、その結果「女性には不向きな仕事だ」という固定観念が社会に深く根づいている。この偏見は、女性が建設業界への就職を考え始める段階で大きな壁になってしまう。

さらに、実際に就職できたとしても、性別を理由に重要な業務や責任あるポジションから遠ざけられたり、スキルを習得する機会を奪われたりすることにもつながりかねない。性別に関係なく、個人の能力や意欲を公平に評価する姿勢が求められる。

建設業界に対するマイナスイメージ

建設業界は、「きつい・汚い・危険」という、いわゆる3Kのマイナスイメージが根強く定着している。このイメージは、特に若い世代や女性がこの業界を避ける大きな要因になっている。

実際に現場で働く際には、厳しい労働環境や徹底した安全管理が求められることもある。しかし、近年では技術の進化や安全への意識向上によって、労働環境は着実に改善されている。

こうした実態が世間には十分に伝わっておらず、古いイメージが定着していることで、女性の参入を妨げる一因になっているのである。

(3)建設業で女性活躍を推進することのメリット

建設業において女性の活躍を推進することは、単に深刻な人手不足という課題を解決するだけではない。企業全体にこれまでになかった新たな価値や視点をもたらし、組織の成長を可能にする大きなメリットを秘めているのだ。

女性が能力を発揮できる環境を整えることは、対外的な単なるパフォーマンスではなく、企業の競争力向上に直結する戦略的な投資であると言える。

・人手不足の解消

少子高齢化が進む日本では、労働力人口の減少が今後さらに加速すると予測されている。この厳しい状況で、建設業界が男性の働き手だけに頼っていては、業界全体の労働力を維持していくのは非常に難しい。

そこで重要になるのが、女性の労働力を積極的に確保し、その活躍を後押しすることだ。これは、人手不足という課題を解決し、事業を安定して継続していくために極めて有効な手段になる。

女性がさまざまな職種で活躍することで、建設業全体の労働力不足が緩和され、業界の持続可能性も高まるだろう。

・多様な視点を生かした新しい価値の創出

建設業界に多様な人材が加わることで、これまでになかった視点や発想が生まれ、新たな価値の創出につながる。性別に限らず、異なる経験やバックグラウンドを持つ人材が集まることで、安全管理や品質管理、業務効率の改善など、さまざまな分野で新しい気づきが生まれる可能性がある。

また、多様な人材が活躍する職場では、現場内外のコミュニケーションが活性化し、チームワークの向上やトラブルの未然防止にもつながる。こうした環境は、プロジェクト全体の品質向上や生産性の向上を後押しする要因になるだろう。

性別にとらわれず、それぞれの強みや能力を発揮できる組織づくりを進めることが、変化の激しい時代に対応できる柔軟で強い企業の成長につながるのである。

(4)女性が働きやすい職場にするためのポイント

建設業で女性が定着し、長く活躍できる職場環境を築くには、単に女性用設備を整えるだけでは不十分だ。企業全体の文化そのものを一新し、女性社員が安心して働けるように心理的なサポート体制を構築することが重要である。

ここからは、「女性に配慮した環境づくり」や「企業風土の変革」など、女性が働きやすい職場にするためのポイントについて深掘りしていく。

・女性に配慮した環境づくり

女性が安心して働ける環境を整えることは、女性の活躍を推進する上で最優先すべきことだ。具体的には、トイレや更衣室などの設備をしっかりと整備する。それに加え、柔軟な働き方を可能にする勤務制度や、産休・育休制度の充実も欠かせない。

単に制度を設けるだけでは意味がない。実際に社員が抵抗なく制度を利用できる職場の雰囲気をつくり出すことも重要だ。さらに制度を利用した後も職場復帰できるよう、キャリア支援も含めて検討する必要がある。

そして、これらの取り組みについて社内外に積極的に情報を発信し、女性活躍を推進する企業の姿勢を示すことも重要である。

・企業風土の変革

女性が働きやすい職場にするには、企業風土を変えていくことも必要になる。性別による偏見を取り除き、「女性社員を男性社員と対等に扱う」という意識を組織全体で共有することがポイントだ。

女性だからといって特別扱いするのではなく、それぞれの能力や成果を正しく評価し、性別にかかわらずキャリアアップのチャンスを与えることが、本当の意味での平等な職場環境につながるだろう。

正当に評価をした上で、積極的に女性を管理職に登用したり、さまざまな経験を持つ多様な人材を採用したりすることが求められる。

・女性を孤立させない環境

新たな女性社員が職場に加わった際、孤立感がないように配慮することも重要である。例えば、社内の既存の女性社員を橋渡し役にすることで、新入社員の不安を和らげ、職場にスムーズに慣れてもらうことができる。

もし社内に女性社員がいない場合は、社外の女性技術者コミュニティや、女性建設従事者のネットワークを活用するなど、外部からの支援も視野に入れると良いだろう。

互いに悩みを共有し、励まし合える環境があることは、女性社員の定着率を大きく高めることにつながる。

(5)まとめ

建設業における女性の活躍推進は、深刻な人手不足を解消し、業界に新たな価値を生む重要な戦略である。女性が定着しにくいのは、設備不足や産休・育休制度の未整備、「女性には無理」という固定観念や3Kイメージが背景にある。

しかし、これらの課題を克服し、女性の多様な能力を引き出せば、建設業はより魅力的で持続可能な産業へと変わるだろう。女性への配慮や企業風土の変化、孤立させないサポートなどが安心して長く働ける職場には不可欠だ。

業界全体でこれらの取り組みを進め、多くの人々が働きやすい環境を創造していくことが求められている。

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