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外国人技能実習生とは? 建設業で活用するメリットと要件について解説

2025/11/26

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外国人技能実習生とは? 建設業で活用するメリットと要件について解説

建設業界では、深刻な人手不足が長年の課題とされてきた。そのような中で注目を集めているのが、外国人技能実習生の受け入れである。ただし、技能実習制度には本来の目的があり、受け入れに際しては法令順守と適切な配慮が求められる。

本記事では、建設業における外国人技能実習生の基本や、受け入れのメリット、必要な要件について解説する。

(1)建設業の外国人技能実習生について

日本の建設現場では、近年、外国人技能実習生の存在が欠かせなくなっている。

人手不足が深刻化する中で、彼らは重要な役割を担っており、その制度の本来の目的や背景を正しく理解することは重要なポイントである。

ここでは、技能実習制度とは何か、そしてその目的について整理していく。

・技能実習制度とは

外国人技能実習制度は、海外の現地法人などで、社員教育として行われた研修制度を原型とし、1993年に国内で制度化された。2009年の入管法改正で在留資格「技能実習」が創設され、2010年に施行。さらに2017年には技能実習法が施行された。

この法律により「外国人技能実習機構」が設立され、技能実習生の保護や適切な実習体制の構築が進められている。

・技能実習制度の目的

技能実習制度は、外国人技能実習生が日本で学んだ技術を持ち帰り、自国の労働に生かすための技術移転を目的として、制定された。そのため、技能実習生に対して、しっかりと技術を学ぶ機会を与えることが求められ、技能実習生を単なる労働力の需給調整の手段としてはならない。

技能実習生に対しては、技能習得のための教育やサポート体制を整え、適切な環境を提供することが、受け入れる企業側にも求められる。

(2)建設業の市場と動向

建設業界は今、大きな転換期を迎えている。都市の再開発やインフラ整備、さらには老朽化した施設の修繕・建て替えなど、需要は多岐にわたり、今後も安定した成長が見込まれている。

しかし一方で、深刻な人手不足や働き方への課題も顕在化しており、建設業界は「忙しいけれど人が足りない」というジレンマに直面している。

ここからは、現在の建設業を取り巻く市場の動きと、その背景について詳しく見ていく。

建設業の需要増加

日本の建設業界は今、民間建設のほか、インフラ建設やこれらの老朽化による建て替えなど需要は絶えない。特にインフラ系については、長期的な視点で見ても需要が尽きることはなく、建設投資額は増加傾向にある。

ただし、建設投資額が増えているからといって、業界全体が大きくもうかっているわけではない。資材コストの高騰や受注競争の激化など、利益を圧迫する要因も多く存在する。

それでも、以前と比べると待遇面の改善が進み、働きやすさへの取り組みも徐々に広がっている状況である。「国土交通省インフラシステム海外展開行動計画2022」にもあるように、国内外問わず、建設業界には明るい展望が広がっていると考えられている。

建設業界の人材不足の深刻化

需要がおう盛である一方、労働人口の減少や他業種と比較した相対的な労働環境の悪化により、建設業有効求人倍率は高止まりしている。厚生労働省の統計(2025年8月分)によれば、建設業有効求人倍率は5.68倍になっている。これは5件以上の求人に対して応募が1人という状況であり、極めて厳しい水準である。

この背景には、労働環境の厳しさがある。例えば、体力が求められる現場作業、天候に左右される勤務環境、納期のプレッシャーなど、建設業は働く上で負担の大きい職場環境と見られがちである。

また、一度建設業から離れた人は戻らないという現実もある。少子高齢化が進む中で、今後も働き手は減少していくことが見込まれる。

いかにして魅力ある職場環境をつくり、若い世代や外国人労働者を取り込んでいくかが、今後の建設業界の大きな課題になっている。

(3)建設業における外国人技能実習生活用のポイント

人手不足が深刻な建設業界では、外国人技能実習生の存在が、ますます重要になっている。ただし、実習生を受け入れるには、法律や制度のルールをしっかり守ることが前提である。

ここでは、実際に外国人技能実習生を建設業で受け入れる際に押さえておくべきポイントについて解説する。

・外国人技能実習生の受け入れ要件

技能実習生保護のため、建設業では2020年に受け入れ基準が強化された。企業が単に労働力として彼らを活用するのではなく、「技能を学ぶ場」としての環境を整えることが求められている。

以下の4つの要件は重要なポイントであるため、しっかりと押さえておこう。

建設業法第3条の許可

建設業で大規模な工事を受注するためには、建設業法第3条の許可が必要である。この許可がないと、大規模な工事を受注すること自体ができない。

そのため、建設業で技能実習生を受け入れるには、まず建設業法第3条にもとづく許可を取得していることが前提となる。さらに、建設業には28の業種が定められており、その中で営業を行う業種については、すべて許可を得る必要がある。

②建設キャリアアップシステムの導入

技能実習生受け入れの際には、建設キャリアアップシステムへの登録が必要である。建設キャリアアップシステムとは、技能者が保有する資格や社会保険への加入状況を登録する仕組みのこと。

このシステムを導入することで、能力の可視化につながり、それによって処遇が改善されることを目的としている。このシステムへの登録は、企業だけでなく、技能実習生本人も登録する必要がある。

③給与を月給制に変更

天候による作業中止などの影響を受けやすい建設業では、技能実習生に支払う報酬を安定させるため、給与を月給制としなければならない。

労働基準法では、使用者側の都合による休業があった場合、平均賃金の60%以上を支払わなければならないことが定められている。日本人労働者と同様、技能実習生にも安定した報酬を提供しなければならないのである。

④監理団体への加入

一部の限られた大手の企業を除き、ほとんどの企業が技能実習生の受け入れを管理する監理団体に加入する必要がある。技能実習生を受け入れる企業のほとんどは、「団体監理型」という方式を選んでいる。

これは、受け入れ企業が監理団体に加入し、送り出し機関を通して技能実習生を受け入れる仕組みである。

「企業単独型」という方式もあるが、これは自社で技能実習生を受け入れる必要があるため、「団体監理型」を選ぶ企業が多いのが実情である。

・外国人技能実習生活用のメリット

人手不足が深刻な中で、外国人技能実習生の活用は、建設業界にとって大きな支えとなっている。単なる労働力としてだけではなく、企業にとっては長期的な雇用安定や組織活性化のチャンスにもなり得るのである。

ここでは、外国人技能実習生を受け入れることで得られるメリットを紹介する。

‐人手不足の解消

外国人技能実習生を活用すれば、人手不足の解消につながる。有効求人倍率が高いことが問題視されている状況下で、いつ採用できるかわからない国内労働者を確保するよりも、採用から継続期間までが決められている技能実習生の労働力は、安定していると言える。

技能実習生は、原則として3年間もしくは5年間同じ企業で働くことが可能であり、長期的に安定した労働力を確保することが可能である。途中で転職することがないため、企業側は計画的に人材を配置できる。

日本人にはかからない管理費などが発生するが、頻繁な人材の出入りによる採用コストや教育コストを考えると、長い目で見てメリットは大きいと言える。

‐労働環境の改善

技能実習制度の導入にあたっては、従業員が快適に働ける環境を整える必要がある。技能実習生だけでなく、すべての従業員が快適に働けるよう、職場環境の見直しや制度を整備する。

こうした取り組みは、結果的に既存の国内労働者にとっての労働環境の改善にもつながり、職場全体の雰囲気や定着率の向上にも寄与するだろう。

・新しい価値の創出

外国人技能実習生の積極採用により、優秀な人材の発掘機会が増えることにも期待できる。技能実習生は、日本人にはない多様なスキルや経験により、企業に新しい価値をもたらす可能性がある。

海外展開する場合には、言語能力を生かし重要なサポート役としても期待できるだろう。

(4)まとめ

外国人技能実習生の受け入れは、建設業界にとって、労働力確保の有力な選択肢である。ただし、制度の本来の目的を理解し、適切な環境づくりを行うことが大前提となる。

技能実習生を単なる労働力としてではなく、将来を見据えた人材育成の一環として受け入れることで、企業にとっても、新たな価値の創出や成長のきっかけになる。

今後の建設業の発展には、多様な人材の活用が欠かせない。これからの建設業界には、人と技術が育つ環境づくりが求められている。

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