建設業こそDXで働き方は大きく変わる! 現場で活用できるデジタル技術4選
2026/1/7

建設業は長年にわたってアナログな業務形態が主流であったが、変革の必要性が差し迫っている。人手不足、ノウハウの継承、非効率な書類業務など、現場の課題は深刻だ。
こうした問題に対し、DX(デジタルトランスフォーメーション)は確かな解決手段となり得る。本記事では、現場で活用可能な具体的デジタル技術を紹介する。
(1)建設業界の課題とは
建設業は日本経済を支える基幹産業であり、住宅やインフラの整備を通じて社会の土台を築いてきた。しかし近年では、現場の高齢化や人手不足、非効率な業務構造など、さまざまな課題が顕在化している。
こうした問題は一時的な現象ではなく、業界全体の構造に起因しているため、早急な対応が求められている。ここでは、こうした課題を具体的に整理し、その本質に迫っていく。
・若年層における人材不足
建設業界では技術者の高齢化が進んでおり、60歳以上の割合は全体の4分の1に達している。これに対し、29歳以下の若年層はわずか12%程度と著しく少ない状況だ。若者の新規参入が進まない背景には、業界に対するイメージや労働環境の問題がある。
労働時間の長さや現場環境の厳しさが敬遠される要因になっている。厚生労働省も人材確保・育成の取り組みを進めているが、現状では抜本的な改善には至っていない。
・ノウハウの継承が進まない
若年層の就労者が少ない状況が続く中で、ベテラン技術者からのノウハウ継承が停滞している。多くの熟練者が暗黙知として蓄積してきた技能は、マニュアル化や映像記録がなければ容易に失われてしまう。
特に、現場特有の判断は、デジタルでの記録がない限り次世代に伝えられないだろう。このように、企業単位の努力では限界があり、業界全体で継承の仕組みを構築する必要がある。
・紙書類の多さ
建設現場では、契約書類や工程表、施工管理資料など、紙で扱う帳票が多岐にわたって存在している。検査や品質管理においても紙ベースでの作業が主流であることから、紛失や共有の手間が業務の非効率化を招いているのである。
紙書類は必要な情報を即座に確認できず、現場と事務所の連携遅延につながる。このような書類の煩雑さは、全体の業務負担を重くしているため、デジタル化による合理化が急がれるだろう。
・生産性の低迷
建設業の現場では、業務内容が現場ごとに異なるため、標準化が進みにくい。その結果として効率化の取り組みも進まず、生産性は他産業に比べて長年低迷している。さらに、慢性的な人手不足が現場の負担を増幅させている。
担当者の熟練度や判断に依存する作業が多く、属人化が避けられない構造となっているのも生産性が低迷している要因だろう。デジタル技術の導入は、生産性低迷の突破口になり得る。
(2)建設業におけるDXとは
建設業界におけるDXは、現場の業務効率や安全性を高めるだけでなく、業界全体が抱える構造的課題の打開策として注目されている。国土交通省は2025年6月に「国土交通省DXビジョン」を発表し、今後の目指すべき方向性や強化すべき領域を明確に示している。
DXが進めば、これまで現場で長年続けられてきたアナログな工程が効率化されるだろう。例えば、現場写真の自動整理や進捗管理のクラウド化、作業員の健康管理の遠隔化といった技術は、すでに一部の現場で導入が進んでいる。
このように、DXは単なるIT化にとどまらず、業務プロセス全体の見直しを通じて、持続可能で競争力ある建設業への転換を促している。
(3)建設業がDXに取り組むメリット4つ
建設業がDXを導入することで得られるメリットは多い。単に業務をIT化するのではなく、現場に根差した業務改革を進めることで、生産性や安全性を含めた労働環境全体の改善が見込まれる。
以下に、具体的な4つのメリットを解説していく。
・情報共有のデジタル化
建設業におけるDXの第一歩として、情報共有のデジタル化は極めて重要である。従来の現場では、工程表や施工管理書類など多くの情報が紙で管理されていたため、関係者間での共有に時間と手間がかかっていた。だが、こうした資料をすべてデータ化すれば、現場や事務所間の連携がスピードアップする。
さらに、共有されたデータがシステム上に蓄積されることによって、過去の案件をもとにした業務改善や分析もできるようになる。これにより、属人的で断片的だった情報管理から脱却し、組織全体としての意思決定の迅速化と業務の質の向上が期待できるだろう。
・ペーパーレス化の促進
建設業界では、契約書や報告書、工程表など紙での運用が依然として根強い。しかし、これらの書類を電子化することで、事務作業の効率化と保管スペースの削減が図れる。紙書類の保管には膨大なスペースと管理の手間がかかり、情報を探すのにも時間を要する。さらには紛失や漏えいといった情報セキュリティの面でもリスクを抱えていた。
だが、データ化によってそのリスクを大きく軽減できるようになる。この変化は、単に書類の形式が変わるだけでなく、業務全体の在り方を見直す契機になるだろう。
・生産性の向上につながる
建設業におけるDX推進は、生産性向上へのカギを握っている。現場では、工程ごとに手作業で行っていた進捗管理や作業記録が、デジタルツールによって自動化されつつある。これにより、従来よりも短時間で正確なデータ処理が可能になり、作業の抜けやミスも減少する。
また、複数の工事現場を一括で把握できる仕組みを整えることで、人的リソースの最適な配分もできる。このように、データにもとづいた業務の可視化は、無駄や重複作業の排除にもつながる。こうした取り組みは、建設業界が長年抱えてきた労働力不足への対処にも直結する。
・現場の安全性の向上
建設現場では常に事故や怪我のリスクが伴うため、安全性の確保は最重要課題の一つである。近年では、センサーやカメラ、ドローンなどを活用したデジタル技術によって、作業環境の監視や危険個所の可視化が進んでいる。
また、ロボットによる高所作業や危険作業の代替も実現しつつあり、これにより労働者の負担が軽減されるだけでなく、事故発生率の低下にもつながっている。さらに、作業員の体調や作業状況をリアルタイムでモニタリングする技術が導入されれば、熱中症や過労のリスクにもすぐに対応できる。
このように、DXは単なる業務効率化にとどまらず、命を守るという視点においても大きな役割を果たしている。
(4)建設業のDXに活用できるデジタル技術4選
建設業界のDXを推進する上で、デジタル技術の活用は不可欠である。これまでアナログで行ってきた業務も、先端技術の導入によって大きく変化している。特に、現場作業の効率化や安全性の向上、情報共有の迅速化など、業務のあらゆる場面でデジタル技術の活用が進んでいる。
ここでは、デジタル技術がどのように現場で活用されているのか解説していく。
・AI(人工知能)
AIの活用は、建設現場における作業の効率化と精度向上に貢献している。例えば、現場の写真や映像をAIで自動解析することにより、工程の進捗状況をリアルタイムで可視化できる。これにより、従来は人の目と手作業で行っていた進捗管理が、正確かつスピーディに実施できるようになった。
さらに、AIは過去の施工データをもとに、作業の遅延リスクなどを事前に検出することもできる。こうした予測分析は、現場のトラブルを未然に防ぐ上で非常に有効である。また、AIを活用することで、作業工程の最適化や資材の適切な配分といった判断もサポートしてくれるため、全体の生産性を高められるだろう。
・IoT(モノのインターネット)
IoTは、建設機械や作業員にセンサーを設置することで、現場の情報をリアルタイムで取得・分析する技術である。例えば、重機にGPSや振動センサーを搭載すれば、遠隔地からの操作や稼働状況が把握できる。
さらに、作業員のヘルメットや作業着にウェアラブルデバイスを装着すれば、心拍数や体温などを常時モニタリングできるので、熱中症や過労などのリスクを早期に察知できる。このように、IoTは作業効率だけでなく、安全管理の面でも大きな力を発揮する。
・クラウドサービス
クラウドサービスの導入により、本社と現場の情報共有が飛躍的に効率化されている。従来はFAXや郵送などの手段に頼っていたため、情報の伝達に時間がかかり、確認漏れや書類の紛失といった問題も発生していた。しかし、クラウドを活用すれば、図面や日報、工程表といった各種資料を即時に共有できる。
これにより、遠隔地にいる関係者ともリアルタイムで状況を把握しながら業務を進められるようになった。クラウドには編集履歴が自動で残るため、「誰が」「いつ」「どの」情報を更新したかを追跡でき、ミスやトラブルの原因特定も容易になる。
・ドローン
ドローンの活用は、建設現場における点検や測量業務を大きく変えている。人の手が届かない高所や危険区域においても、ドローンを用いることで安全かつ正確に作業できる。例えば、建物の外壁検査や橋りょうの点検、山間部の測量など、従来は高所作業車や足場を必要としていた作業が、ドローンの飛行で代替可能だ。
また、撮影した映像や写真は、即座にクラウドへアップロードされ、関係者が同時に閲覧することもできる。このように、ドローンは現場の安全性と生産性を両立する、重要なツールなのである。
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