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建設業界の平均年収を年代別・職種別に分析! 優秀な人材を獲得するには?

2025/12/10

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建設業界の平均年収を年代別・職種別に分析! 優秀な人材を獲得するには?

建設業界の平均年収は、年齢や職種などによって大きく異なる。

本記事では、業界の平均年収に加え、年齢別・職種別・企業規模別の平均年収を解説する。また、企業が優秀な人材を獲得するためにできることについても紹介する。

(1)業界の平均年収

2024年に実施された国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、建設業の平均給与は約565万円である。一方、すべての業種の平均給与は、約478万円である。すべての業種と比べて、建設業の平均給与が高い水準にあることが分かる。

(2)年齢別に見た平均年収の変化

厚生労働省が公表している「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」をもとに、建設業における年齢別に見た平均年収の変化を解説する。「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」は、令和6年6月の賃金について調査し、その平均値を示したものである。

ここでいう「賃金」とは「所定内給与」を指し、基本給や各種手当(役職手当・家族手当・通勤手当など)のような、毎月決まって支給されるものが含まれる。従って、賞与や時間外手当などは含まない金額である。建設業における所定内給与を12倍した額を平均年収(賞与や時間外手当などを除く)として、年代別に紹介する。

・20代の年収

建設業における20代の平均年収は、以下のとおりである。

年齢層 賃金(月額) 年収(賃金×12)
20~24歳 238,900円 2,866,800円
25~29歳 273,200円 3,278,400円

25~29歳になると、賞与を含まない平均年収でも300万円を超えている。

・30代の年収

建設業における30代の平均年収は、以下のとおりである。

年齢層 賃金(月額) 年収(賃金×12)
30~34歳 306,500円 3,678,000円
35~39歳 340,200円 4,082,400円

20代と比べて賃金が上がり、35~39歳になると、賞与を含まない平均年収でも400万円を超えている。

・40代の年収

建設業における40代の平均年収は、以下のとおりである。

年齢層 賃金(月額) 年収(賃金×12)
40~44歳 357,800円 4,293,600円
45~49歳 399,400円 4,792,800円

40代になると、賞与を含まない平均年収でも400万円を超えている。建設業界で経験を積み、専門的な知識や技術が身についている上、バイタリティを持って働けることが評価されている。

・50代の年収

建設業における50代の平均年収は、以下のとおりである。

年齢層 賃金(月額) 年収(賃金×12)
50~54歳 407,500円 4,890,000円
55~59歳 437,300円 5,247,600円

50代は、建設業界に関する豊富なノウハウや経験を生かして現場で働くだけでなく、後輩の育成にも寄与している。平均賃金は月額40万円を超え、55~59歳では、賞与を含まない平均年収でも500万円を超えている。

これは、年齢別に見た場合の、最も高い平均年収である。

・60代以上の年収

建設業における60代の平均年収は、以下のとおりである。

年齢層 賃金(月額) 年収(賃金×12)
60~64歳 389,800円 4,677,600円
65~69歳 333,100円 3,997,200円

60代は、体力面において負担を感じやすくなる年代である。平均賃金は月額30万円台であり、50代と比べると減少している。

(3)職種別による平均年収の違い

ここでは、厚生労働省が公表している「賃金構造基本統計調査(職種別賃金)」に記載されている職業ごとの平均賃金と平均年間賞与をもとに、平均年収を算出して紹介する。

・建築技術者

以下は、平均賃金と平均年間賞与をもとに算出した建築技術者の平均年収である。

賃金(月額) 賞与(年額) 年収(賃金×12+年間賞与)
416,400円 1,331,000円 6,327,800円
  • (企業規模計10人以上)

建築技術者とは、建物の設計や工事の管理を行う職業である。設計担当である「建築士」や、実際の工事計画を立て、安全に進むようにマネジメントする施工担当者も、建築技術者にあたる。

・ダム・トンネル掘削従事者、採掘従事者

以下は、平均賃金と平均年間賞与をもとに算出したダム・トンネル掘削従事者や採掘従事者の平均年収である。

賃金(月額) 賞与(年額) 年収(賃金×12+年間賞与)
355,000円 560,700円 4,820,700円
  • (企業規模計10人以上)

ダム・トンネル掘削従事者や採掘従事者は、大規模な土木工事や採石現場で地盤や岩石を削り、構造物の基礎や資源を確保する重要な専門職である。地質の性質を的確に把握しながら、重機や発破などを用いて安全かつ効率的に作業を進める技術が求められる。

これらの作業は危険を伴うため、「掘削作業主任者」や「発破技士」などの有資格者による監督のもとで行うことが義務づけられており、現場の安全管理と法令順守が不可欠である。

・測量技術者

以下は、平均賃金と平均年間賞与をもとに算出した測量技術者の平均年収である。

賃金(月額) 賞与(年額) 年収(賃金×12+年間賞与)
328,500円 948,900円 4,890,900円
  • (企業規模計10人以上)

測量技術者は、土地や水路、森林などの測量に関する業務を担当する専門職である。工事現場や土木現場に欠かせない職種であり、土地の面積や高さを正確に測定する重要な業務を担っている。

・電気工事従事者

以下は、平均賃金と平均年間賞与をもとに算出した電気工事従事者の平均年収である。

賃金(月額) 賞与(年額) 年収(賃金×12+年間賞与)
367,400円 1,100,600円 5,509,400円
  • (企業規模計10人以上)

電気工事技術者は「電気工事士」の国家資格を保有し、電気設備に関する工事を担当する専門職である。

・配管工事従事者

以下は、平均賃金と平均年間賞与をもとに算出した配管工事従事者の平均年収である。

賃金(月額) 賞与(年額) 年収(賃金×12+年間賞与)
362,200円 779,000円 5,125,400円
  • (企業規模計10人以上)

配管工事従事者は、さまざまな建築物のトイレや洗面所などの配管工事を専門に行う職種である。

(4)企業規模別による平均年収とは

ここでは、総合建設業者を企業規模別に見た平均年収を紹介する。

・スーパーゼネコンで働く

総合建設業者のうち、売上高が1兆円を超えているスーパーゼネコン5社は、給与水準が高く、福利厚生も充実している。平均年収は、900万円台から1,000万円を超える企業もある。

・準大手ゼネコンで働く

スーパーゼネコンに次ぐ売上高の準大手ゼネコンは、年収もスーパーゼネコンに次いで高い水準である。準大手ゼネコン10社の平均年収は、800~900万円台である。

・中堅・地場ゼネコンで働く

準大手に次ぐ売上規模の中堅ゼネコンや、地域に根差した地場ゼネコンの平均年収は、700~800万円台とされている。

(5)優秀な人材を確保するために企業ができること3選

ここでは、建設業界において優秀な人材を確保するために企業ができること3選を紹介する。

・実務経験を積める仕組みづくり

企業は、経験の浅い20代や30代をサポートできる環境を整え、経験豊富な40代や50代が後輩を育成する仕組みをつくることが重要である。若手がスキルを習得できるだけでなく、ベテランの後輩育成やマネジメントスキルの向上にもつながる。

・資格取得を支援する

国家資格や専門性が高い資格が多い建設業界において、資格取得の支援は、人材のスキルアップと業務効率化に有効である。企業は、資格取得に関する研修会開催や、試験費用援助、さらに資格手当や昇進の機会を設けることで従業員の資格取得を支援できる。

資格取得支援によって、従業員のスキルが向上すると、企業のイメージアップにもつながる。

・副業を認める

業務に支障が出ない範囲での副業を認め、従業員が社外でもスキル習得や収入を補える環境を整えることで人材定着にもつながる。

(6)まとめ

2024年の「民間給与実態統計調査」によると、建設業の平均給与は約565万円である。ただし、建設業界は年齢や職種によって平均年収が大きく異なっている。

年齢別に見ると平均年収が最も高いのは55~59歳である。50代は、建設業界に関する豊富なノウハウや経験を生かして現場で働くだけでなく、後輩の育成にも寄与している。50代の平均賃金は月額40万円を越え、55~59歳になると、賞与を含まない平均年収でも500万円を超えている。

企業が優秀な人材を確保するためには「実務経験を積める仕組みづくり」「資格取得を支援する」「副業を認める」などの制度を導入し、働きやすくスキルアップを図れる環境を整えることが重要である。

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