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【人事担当者必見】建設業における雇用契約書作成時のポイントや留意点を徹底解説

2025/12/17

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【人事担当者必見】建設業における雇用契約書作成時のポイントや留意点を徹底解説

法律上、雇用契約書の交付は必須ではないが、トラブル防止のために契約書を交わすことが一般的である。

本記事では、建設業の雇用における必要な契約書類、労働契約書(雇用契約書)および労働条件通知書に必要な内容などについて紹介する。さらに、労働者と一人親方の違いについても解説する。

(1)雇用における必要な契約書類とその役割

ここでは、労働契約書、雇用契約書、労働条件通知書について解説する。

「労働契約」と「雇用契約」は、正確には定義されている法律と対象者が異なる。しかし、実際には労働契約書と雇用契約書は、盛り込む内容に大きな違いはなく、一般的には同じ意味で使われている。

法律では、契約書の交付が義務づけられていないものの、トラブルを防ぐために労働契約書または雇用契約書のいずれかを交わすことが一般的とされる。一方、労働条件通知書は、企業が労働者に交付するよう法律で義務づけられている。

労働契約書や雇用契約書と、労働条件通知書は重複する内容が多いため「労働条件通知書兼雇用(労働)契約書」として兼用する企業も少なくない。

・労働契約書

労働契約は、労働基準法および労働契約法にもとづいて定められている。労働契約法第6条では次のように規定されている。

「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」

この定義が示すとおり、労働者は「労働」を、使用者は「賃金の支払い」を約束し、両者の合意によって契約が成立する。契約は口頭でも成立するが、法律上、契約書の交付義務はない。それでも、後の紛争を防ぐため、契約書を取り交わすことが望ましい。署名捺印された書面は、合意の事実を裏付ける重要な証拠になる。なお、同居する家族のみを雇用する場合は、労働者には該当しない。

・雇用契約書

雇用契約は、民法第623条において次のように定義されている。

「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる」

つまり、労働に従事することと報酬の支払いを双方が約束することで、雇用契約は成立する。契約は書面がなくても効力を持ち、民法上、契約書の交付は義務づけられていない。ただし、トラブル防止の観点から、契約書を作成し署名捺印するのが一般的である。この書面は、当事者間の合意を明確に示す役割を果たす。なお、雇用契約では、雇用主に対して労働に従事する者はすべて労働者とされる。

・労働条件通知書

労働条件通知書は、労働者に対して労働条件を明示するための書類である。雇用(労働)契約を結ぶ際、労働基準法により、雇用主が作成し労働者へ交付することが義務づけられている。

通知書には、明示すべき項目が法律で定められており、その内容は労働契約書や雇用契約書と重なる部分が多い。ただし、労働条件通知書の目的は「条件の明示」であり、署名や捺印は行わないため、労働者の同意を証明する書類にはならない。

なお、雇用に関する契約書の有無にかかわらず、企業は必ず労働条件通知書を交付しなければならない。

(2)労働契約書(雇用契約書)に必要な内容

労働(雇用)契約書は、法律上、交付する義務はないため、記載すべき内容は定められていない。そこで、ここではトラブルを防ぐために盛り込むとよい内容について解説する。

・契約期間や契約更新の基準に関する事項

雇用期間を具体的に明記する。試用期間がある場合は、試用期間についても具体的に明記する。また、契約社員のような有期雇用では、契約更新の有無を示す。そして、契約更新がある場合は、更新の基準も盛り込むことが望ましい。

・就業場所や業務内容に関する事項

契約時に想定している業務に加え、今後の勤務場所や、担当業務を盛り込んだほうがよい。建設業務以外の業務がある場合は、勤務場所や担当業務を明記する。

将来的に変更が必要な場合に備え「企業側が必要に応じて勤務場所や担当業務を変更できる」ことを記載しておくとよい。

・残業や休暇等に関する事項

就業時間を具体的に明記する。また、残業の有無や、所定休日の曜日、有給休暇、休暇制度について、日数や期間などを示す。さらに、天候や作業現場の状況によって勤務時間が変動する可能性がある場合は、その旨を記しておくとよい。

・給与に関する事項

賃金について、決定方法・計算方法・支払い方法、締め日・支払い日を明記する。また、交通費や経費の支払い方法についても示す。

・退職や解雇に関する事項

退職および解雇に関する規定を具体的に示す。具体的には、手続き方法や退職願の提出時期、解雇の事由などを明記する。

(3)労働条件通知書は雇用形態によって記載必須項目が変わる

労働条件通知書には、以下の内容に関する基本的な項目の明示が義務づけられている。

  • ‐契約期間
  • ‐勤務場所、担当業務
  • ‐就業時間、残業の有無、休日、休暇
  • ‐勤務シフト交替のタイミングと方法(交替制勤務の場合)
  • ‐賃金(決定・計算・支払い方法、締め日、支払い日)
  • ‐退職、解雇

さらに、雇用形態によっては、これらに加えて追加で示さなければならない項目がある。

パートアルバイトの場合

パートアルバイトのような短時間労働者を雇用する場合は、以下の項目も明示するように義務づけられている。

  • ‐昇給の有無
  • ‐退職手当の有無
  • ‐賞与の有無
  • ‐雇用管理の改善に関する相談窓口

短時間労働者を雇用する場合は、基本項目に加えてこれらの項目を記載する必要がある。

・有期雇用の場合

契約社員のような有期労働契約者を雇用する場合は、基本項目に加えて、以下の項目も示すことが義務づけられている。

  • ‐契約期間
  • ‐契約更新の有無
  • ‐契約更新の基準(契約更新がある場合)

なお、契約を更新するときは、新しい契約期間を明記した労働条件通知書を交付する必要がある。

(4)労働条件通知書には法的義務がある

これまでに解説したとおり、労働条件通知書は、労働基準法によって交付が義務づけられている。これに違反すると、最大で30万円以下の罰金が科される可能性がある。

例えば、労働条件通知書に労働条件を明示していない場合や、掲載した条件が労働基準法の基準を満たしていないケースなどは違反とされる。なお、労働(雇用)契約書と労働条件通知書を兼用する場合でも、労働条件通知書に義務づけられている項目をすべて明示する必要がある。

(5)労働者と一人親方の違い

ここでは、労働者と一人親方の違いについて解説する。

・一人親方は個人事業主である

労働者とは、雇用契約を締結して働く人のことである。一方「一人親方」は個人事業主であり、業務委託契約を結んで働くため、労働者とは異なる。ただし、基本的には個人事業主として働きながら、一定期間雇用契約を結んで労働者として働くこともある。

雇用契約においては、雇用主の指揮命令のもと、労働者が労働力を提供することに対し、報酬が支払われる。雇用主は、労働時間にもとづいて報酬を支払い、業務の進め方や労働時間を管理する責任がある。

労働者は、雇用主の指示に従い労働する義務があり、労働基準法労働契約法労働安全衛生法などの保護を受ける対象とされる。また、条件を満たすと社会保険や労働保険の対象とされ、雇用主は保険料を負担する義務が生じる。

一方、業務委託契約を結んで働く場合、企業は個人事業主である一人親方に業務を委託する契約であるため、指揮命令関係がない。報酬は、成果物の納品や決められた業務の遂行に対して支払われる。

個人事業主は、労働基準法労働契約法などの適用を受けず、雇用主が保険料を負担する義務もない。そのため、雇用主は雇用責任を問われる可能性を回避できる。

ただし、契約書に明記されている場合を除き、雇用主は具体的な指示を出せない。業務の進め方や、働く時間については、一人親方が自由に決定できる。

このように、雇用形態によって企業側の責任や指示できる範囲が異なる。建設現場では、両者の区別が不明確なまま作業を進行する場合があり、その結果トラブルが生じることが少なくない。

法律を順守し、トラブルを防ぐためには、現場で業務を担当する人が違いを理解し、適切に対応することが重要である。

(6)まとめ

法律上、雇用契約書の交付は必須ではないが、トラブルを防ぐために契約書を交わすのが一般的である。「労働契約」と「雇用契約」は、正確には規定されている法律や対象者が異なる。しかし、実際には労働契約書と雇用契約書は、盛り込む内容に大きな違いはなく、一般的には同じ意味で使われている。

一方、労働条件通知書は、企業が労働者に交付するよう法律により定められている。違反した場合、罰金が科される可能性があるため、十分な注意が必要だ。

さらに、建設業界では、一人親方の契約形態が不明確なまま作業が進行し、後にトラブルとなる事例が少なくない。法律を順守し、問題を未然に防ぐためには、現場担当者が契約の違いを理解し、適切な対応を取ることが求められる。

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