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労務管理における給与計算とは?

2024/10/30

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労務管理における給与計算とは?

(1)給与計算とは

給与計算とは、従業員に対して支払われる賃金を正確に計算し、適切に支給するための一連のプロセスのこと。企業においては、従業員の労働時間や勤務状況、各種手当、控除項目などを考慮し、法令にもとづいた計算を行うことが求められる。

給与計算は、従業員のモチベーションや企業の信頼性に直結する重要な業務であり、正確かつ迅速に行う必要がある。

(2)給与計算の仕組み

給与計算の仕組みは、「基本給」「各種手当」「控除項目」の3つの要素から成り立っている。基本給は、従業員の職務や役職に応じて設定される基本的な賃金であり、各種手当は、残業手当や通勤手当、住宅手当、家族手当など、従業員の生活や勤務状況に応じて支給される追加の賃金のこと。控除項目には、所得税や社会保険料、住民税などが含まれ、これらは法令にもとづいて計算される。

基本給と各種手当を足した金額が「総支給額」(いわゆる額面)、その総支給額から「控除項目」の金額を差し引いた金額が「差引支給額」(いわゆる手取り)になる。

(3)給与計算のポイント

給与計算における重要なポイントは、以下のとおり。

・法令順守
給与計算は、労働基準法所得税法社会保険法などの法令にもとづいて行う必要がある。法令を順守しない場合、企業は罰則を受ける可能性があるため、最新の法令を常に確認することが重要である。
・正確性
給与計算は、従業員のモチベーションや企業の信頼性に直結するため、正確に行うことが求められる。計算ミスが発生すると、従業員の不満を招く可能性があるため、細心の注意を払う必要がある。
・迅速性
給与は、従業員の生活を支える重要な収入源であるため、遅延なく支給することが求められる。給与計算のプロセスを効率化し、迅速に行うことが重要である。
・透明性
給与計算のプロセスや結果は、従業員に対して透明性を持って説明することが求められる。従業員が納得できるよう、詳細な説明を行うことが重要である。

(4)賃金支払いの5原則

労働基準法では、賃金支払いにおける5つの原則が定められている。これらの原則は、労働者の権利を保護するために重要な役割を果たす。

①通貨払いの原則
賃金は、通貨(日本が発行し、流通している貨幣)で支払わなければならないという原則。これは、現物給与を禁止し、労働者が確実に賃金を受け取ることができるようにするためのもの。労働者の同意があれば、銀行振込などの方法で支払うことも認められる。
②直接払いの原則
賃金は、労働者本人に直接支払わなければならないという原則。これは、第三者による不正な受け取りを防ぐためのもの。
③全額払いの原則
賃金は、全額を一括で支払わなければならないという原則。これは、労働者が賃金の一部を受け取れない状況を防ぐためのもの。ただし、法令にもとづく控除(所得税や社会保険料など)や、労働者の同意による控除(会社に対する借入金の返済など)は認められている。
④毎月払いの原則
賃金は、毎月1回以上、支払わなければならないという原則。これは、労働者が安定した収入を得ることができるようにするためのもの。
⑤一定期日払いの原則
賃金は、一定の期日を定めて支払わなければならないという原則。これは、支払日が不安定になることで労働者の計画的な生活を阻害しないようにするためのもの。

(5)給与計算の流れ

給与計算の流れは、以下のとおり。

①勤務時間の確認
従業員の労働時間を正確に把握するために、タイムカードや勤怠管理システムを使用することが一般的。これにより、出勤日数や残業時間、休暇取得状況などを正確に記録することができる。正確な勤務時間のデータは、後の給与計算において重要であるため、誤りがないように注意すべきである。
②基本給の算出
従業員の職務や役職に応じて設定される基本的な賃金を計算する。基本給は、労働契約にもとづいて決定され、従業員の経験やスキル、業務内容などを考慮して設定される。基本給の算出には、企業の給与規定や労働契約書を参照する必要がある。
③各種手当の加算
手当には、残業手当をはじめ、通勤手当、住宅手当、家族手当、役職手当などが含まれ、従業員の生活や勤務状況に応じて支給される。手当の金額は、企業の規定や労働契約にもとづいて決定される。
④総支給額の算出
総支給額は、従業員の労働に対する対価として支払われる金額であり、正確に計算することが求められる。総支給額の算出には、基本給や手当の金額を正確に把握し、計算ミスがないように注意する必要がある。
⑤控除項目の計算
控除項目の計算は、総支給額から法定控除や任意控除を差し引くプロセス。法定控除には、所得税、社会保険料、住民税などが含まれ、これらは法令にもとづいて計算される。任意控除には、会社に対する借入金の返済や労働組合費などが含まれ、従業員の同意にもとづいて差し引かれる。
⑥支給額の決定
支給額の決定は、総支給額から控除項目を差し引いて、最終的に従業員に支払われる金額を確定するプロセス。支給額は、従業員の生活を支える重要な収入源であり、正確かつ迅速に決定することが求められる。
⑦給与明細の作成
給与明細には、基本給、各種手当、控除項目、支給額などが明記されており、従業員に対して透明性を持って説明することが求められる。
⑧給与の支給
給与は、銀行振込や現金支給など、企業の規定にもとづいて支給される。給与の支給には、正確な支給額をもとに、遅延なく支払うことが求められる。
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