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夜勤の労働時間管理のポイントは? システム導入で期待できる効果も紹介

2025/6/18

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夜勤の労働時間管理のポイントは? システム導入で期待できる効果も紹介

夜勤のシフト管理に悩む労務担当者は多いのが現状である。昼夜逆転の勤務は従業員の健康やモチベーションに影響を及ぼし、労働時間の管理も複雑化するためである。さらに、夜勤では深夜割増賃金や休憩・休日に関する法規制への対応も求められる。

本記事では、夜勤従業員の休憩・休日の考え方、日勤とのシフトバランス、適切な人員配置や健康管理の注意点、勤怠管理システム導入による労働時間管理の効率化の効果まで解説する。

(1)夜勤の労働時間の考え方

夜勤の労働時間管理では、休憩や休日の扱いを適切に理解するのが重要である。夜勤特有の労働時間の捉え方を押さえ、法令順守と従業員の健康確保を両立させる必要がある。また、日をまたぐ勤務の扱いにも注意が必要である。

・夜勤時の休憩について

労働基準法第34条により、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけない。休憩時間は一度にまとめて与えず、複数回に分けてもよい。夜勤でもこの規定は日勤同様に適用され、不十分な休憩は法律違反となる。

そのため、夜勤中も適切なタイミングで休憩をとらせることが重要である。休憩取得が難しい職場では、交替で休憩を確保したり仮眠可能なスペースを設けたりするなど、短時間でも質の高い休息が取れる環境づくりも有効である。十分な休憩は疲労を軽減し、夜勤時の集中力維持や安全確保につながる。

・夜勤時の休日について

休日とは0時から24時まで労働義務のない日のことである。夜勤後の当日はすでに勤務しているため、休日として認められない。労働基準法第35条では毎週少なくとも1日の休日を与える義務が定められている。

夜勤明けの日は法定休日とみなされないため、別途で丸一日休ませる日を確保する必要がある。夜勤と日勤が連続する勤務は法的には違法ではないが、連勤が続けば疲労が蓄積する。従業員の健康に配慮し、適切に休日を配置して休息を十分に取らせることが重要である。

(2)夜勤の労働時間管理のポイント

夜勤シフトを適切に管理するために押さえておきたい主要なポイントを紹介する。日勤とのバランスから人員配置、従業員の健康管理、残業抑制まで、夜勤の労働時間管理に欠かせない要点を確認する。

・日勤と夜勤のバランスをとる

日勤と夜勤のシフト配分に偏りがないようにバランスをとることが重要である。特定の従業員に夜勤が集中したり、連続して夜勤が続いたりするシフトは負担が大きく、不公平感からモチベーション低下を招きやすい。夜勤明けの翌日に再び夜勤を入れる、あるいは特定の人に夜勤ばかり任せるような運用は避けるべきである。

日勤と夜勤を適切にローテーションさせ、できる限り夜勤回数が各従業員で均等になるよう配慮したい。連勤は最小限にとどめ、夜勤シフトの合間には十分な休息や日勤への切り替えを挟むことで、負担の分散と健康維持につなげる。公平なシフト体制は従業員の納得感を高め、モチベーション維持にもつながる。

・適切な人数の従業員を配置する

夜勤シフトには適切な人数を配置するのもポイントである。人手が不足すると一人ひとりの業務負担が増大し、休憩が十分取れないなどの問題が生じる。反対に、過剰な配置は非効率でコスト増につながる。夜間の業務量や安全性を踏まえて適正な人員数を算定し、必要に応じて複数人体制を敷くことが望ましい。

例えば、夜間に緊急対応が発生し得る現場では、一人体制では迅速な対処が難しい。複数人がいれば互いにフォローでき、作業中の事故リスクも軽減される。適切な人員配置によって従業員は安心して勤務でき、休憩も交替で確保しやすくなる。なお、適正な人員配置は従業員の安全確保とサービス品質の維持にも直結するため、取り組むべき課題である。

・健康状態をチェックしてシフトを組む

夜勤従業員の健康状態を定期的にチェックし、シフト編成に反映させることが必要である。深夜業を含む労働に従事する者には年2回の健康診断が義務づけられており、健康面のリスクを早期に把握できる。

健康診断の結果や日々の様子から、疲労が蓄積している従業員や体調不良の兆候がある従業員には、夜勤の回数を減らす、休養日を増やすなど配慮したシフト調整を行う。夜勤は睡眠不足や生活リズムの乱れで心身に負荷がかかりやすいため、管理者が積極的に健康チェックを行い、必要に応じて産業医の助言を得るなどし、無理のない勤務体制を維持するのが大切である。

・所定労働時間の超過に注意する

夜勤シフトでは所定労働時間(1日8時間・週40時間など)を超過しないよう注意する必要がある。日をまたぐ勤務や夜勤後の残業などで、知らぬ間に労働時間の上限を超えてしまうリスクがある。法定を超える労働には36協定の締結が必要だが、36協定があっても時間外労働には月45時間・年360時間の上限がある。

シフト作成時は始業・終業時刻や前後の勤務状況、休憩時間も十分に考慮し、法定労働時間内に収まるよう調整する。夜勤においても時間管理を徹底し、従業員に過度な負担や違法な長時間労働が発生しないようにする。

(3)勤怠管理システムを導入して労働時間管理を効率化

夜勤を含む労働時間管理を効率化するには、勤怠管理システムの導入が有効である。システムを活用すると、夜勤シフトの管理や時間集計を自動化でき、法令順守と業務効率化の両立が期待できる。勤怠管理システム導入による効果を紹介する。

変形労働時間制にも柔軟に対応

勤怠管理システムは、変形労働時間制にも柔軟に対応できる。システム上で1カ月単位や1年単位の変形労働時間制を設定でき、夜勤が多い週と少ない週が混在する場合でも平均して法定内に収まるよう労働時間を管理できる。

夜勤を含む不規則なシフトでも、所定の労働時間内であれば労働時間を柔軟に調整し、必要な割増賃金の計算も自動で行う。

そのため、繁忙・閑散に応じた勤務時間の調整や夜勤時間帯の労働時間管理を円滑に実現できる。労働時間の柔軟な管理は労働者の健康管理や生産性向上にもつながり、企業と従業員双方にメリットがある。

・労働時間を正確に記録

勤怠管理システムは従業員の出退勤時刻を正確に記録し、労働時間を自動で集計できる。深夜労働の割増賃金も適切に計算され、日をまたぐ夜勤の勤怠データも正確に処理されるため、集計漏れの心配がない。

勤務時間データの透明性が向上し、長時間労働の早期発見や適切な人件費管理にも役立つ。また、紙のタイムカードやエクセルでの管理と比べて、データの信頼性や安全性も向上する。さらに、不正な勤怠打刻を防止する機能もあり、管理精度を高められる。

・夜勤を含めた勤務体系での休日設定が可能

勤怠管理システムでは、夜勤を含めた勤務体系での休日設定が可能である。夜勤者の労働スケジュールと休息確保を一元管理し、労働基準法に適合した勤怠管理を実現できる。システムの休日設定機能により、夜勤明けの勤務状況も踏まえて、各従業員に週1日の法定休日を確実に割り当てることが可能となる。

休日に関する法令順守を担保しつつ、従業員の休息を確保できる。正確な休日管理は労働時間や賃金計算の精度向上にもつながり、従業員の健康と働きやすさを促進する。また、複雑なシフトパターンでの休日もシステム上で視覚化できるため、管理者の負担軽減にもつながる。

労働法規にもとづいた管理

勤怠管理システムは、労働法規にもとづいた管理機能を備えている。従業員の労働時間を正確に集計し、1日8時間や週40時間を超えた場合に警告・制限を行い、法定内に収められる。休憩時間の適切な取得や法定休日の付与状況もシステムがチェックし、法律で定められた基準を満たしているか監視する。

例えば、休憩を取らずに6時間以上連続で勤務していればアラートを出す、週の労働日数が上限を超えないよう日数をカウントするといった設定が可能である。勤怠データが常に労働法規に準拠した状態で管理されるため、法令違反の未然防止に役立つ。

給与計算の時間短縮

勤怠管理システムの導入により給与計算の時間を大幅に短縮できる。勤怠データと給与計算システムを連携させることで、正確に集計された勤務時間や深夜手当などのデータが自動で給与計算に反映される。その結果、手作業に比べて効率的で正確な給与計算が可能になり、人的ミスを減らすことができる。

夜勤特有の割増賃金計算も自動化されるため、労務担当者の負担が軽減される。給与明細の作成や支払い処理もスムーズになり、バックオフィス業務の効率化につながる。さらに、給与計算担当者の残業削減による労務コストの低減効果も期待できる。

(4)まとめ

夜勤の労働時間管理では、休憩時間の確保や休日の正しい設定、日勤とのバランスのとれたシフト編成、適切な人員配置と健康管理が鍵となる。また、勤怠管理システムを活用すれば、変則シフトでも正確に労働時間を把握でき、法令順守と業務効率化の両立が可能だ。従業員の負担軽減とモチベーション維持を意識し、これらのポイントを踏まえて従業員が安心して働ける夜勤体制を構築するのが大切である。

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