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労務管理における入退社手続きとは?

2024/10/16

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労務管理における入退社手続きとは?

(1)入退社手続きとは

入退社手続きとは、従業員が企業に入社する際および退社(退職)する際に必要な一連の手続きを指す。これらの手続きは、労働法規や企業の内部規定にもとづいて行われ、従業員の雇用契約の開始および終了を正式に記録し、法的および実務的な要件を満たすことを目的としている。

(2)入社時の手続き

具体的な手続きは企業によって異なるが、一般的には以下のような流れで進められる。

①雇用契約の締結
従業員と企業の間で雇用契約を締結し、労働条件や給与、勤務時間などを明確にする。従業員は契約内容を十分に理解し、納得した上で署名することが重要。契約書は、後々のトラブルを避けるためにも、必ず保管すべきである。
②労働条件の説明
従業員に対して、企業の規則や労働条件、福利厚生、休暇制度などについて説明する。特に、労働時間や休暇制度については、労働基準法にもとづく規定があるため、正確な情報を提供することが求められる。
③必要な書類の提出
従業員から必要な書類等を提出してもらう。これには、以下が含まれる。
  • 1.住民票:現住所を確認するための書類
  • 2.健康診断書:健康状態を確認するための書類
  • 3.年金手帳:年金の加入状況を確認するための書類
  • 4.雇用保険被保険者証雇用保険の加入状況を確認するための書類
  • 5.扶養控除等(異動)申告書:所得税の計算に必要な扶養家族の情報を申告するための書類
  • 6.源泉徴収票:前職の給与や税金の情報を確認するための書類
  • 7.銀行口座情報:給与振込先の銀行口座情報
  • 8.マイナンバー:税金や社会保険の手続きに使用する情報
オリエンテーションの実施
新入社員に対して、企業の概要や業務内容、職場のルールなどを説明するオリエンテーションを実施する。オリエンテーションを通じて、新入社員がスムーズに業務に適応できるよう支援することが目的である。

(3)マイナンバー収集時の確認事項

正しいマイナンバーであることの「番号確認」と、申告書等を提出する人がマイナンバーの正しい持ち主であることの「身元確認」の2つが必要。以下のいずれかの提出をもって確認を行う。

  • A.マイナンバーカード(番号確認と身元確認)
  • B.通知カード(番号確認)+運転免許証やパスポート等(身元確認)
  • C.マイナンバーが記載された住民票の写しまたは住民票記載事項証明書(番号確認)+運転免許証やパスポート等(身元確認)

(4)入社後に企業が行う手続き

従業員が入社した後、企業が行う、主な手続き等は以下のとおり。

健康保険の資格取得手続き
従業員の情報を健康保険組合に提出し、健康保険証を発行。従業員はこの保険証を使用して医療機関での診療を受けることができる。
厚生年金の資格取得手続き
従業員の情報を年金事務所に提出し、厚生年金の資格取得手続きを行う。これにより、従業員は厚生年金保険料を支払い、将来の年金受給に備えることができる。
雇用保険の資格取得手続き
従業員の情報をハローワークに提出し、雇用保険被保険者証を発行。従業員はこの証書を保管し、従業員が失業した際、失業給付を受けるために使用する。
労災保険の手続き
労働基準監督署に従業員の情報を提出し、労災保険の適用を受ける。従業員が業務中に負傷や疾病に見舞われた場合、医療費や休業補償を受けることができる。
所得税の手続き
従業員は扶養控除等(異動)申告書を提出し、控除額を申告。これにもとづいて、企業は毎月の給与から所得税を控除し、年末調整を行う。
住民税の手続き
従業員は住民税の申告書を提出し、これにもとづいて、企業は毎月の給与から住民税を控除する。住民税は、従業員の居住地の自治体に納付される。
・法定4帳簿の作成
従業員の労働時間や賃金、出勤状況を記録するために、法定4帳簿(賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、年次有給休暇管理簿)の作成と保管が、労働基準法で義務づけられている。

(5)退職時の手続き

具体的な手続きは以下のとおり。

退職届の受理
従業員から退職届を提出してもらう。これにより、従業員は正式に退職の意思を表明する。
・返却物の回収
従業員は、企業から貸与された物品の返却が必要。社員証、制服、業務用の機器や資料、業務上、取得した名刺などが含まれる。
・書類の返却
企業が従業員から年金手帳や雇用保険被保険者証を預かっている場合は返却する。
・退職金の支払い
退職金が支給される場合は、その計算と支払いを行う。
・退職後の手続きの説明
退職後に必要な手続きや書類の準備を説明する。健康保険や年金の手続き、失業保険の申請方法などが含まれる。

(6)退職後に企業が行う手続き

従業員が退職した後、企業が行う、主な手続き等は以下のとおり。

源泉徴収票の発行
源泉徴収票は、退職者が次の職場での年末調整や確定申告に必要となる書類。退職後、1カ月以内に源泉徴収票を発行しなければならない。
離職証明書の発行
離職証明書は、従業員が退職後に新たな雇用先や失業保険の申請に必要になる書類。企業は、従業員の退職日から10日以内にこの証明書を発行する義務がある。離職証明書には、従業員の氏名、退職日、退職理由などが記載される。
退職証明書の発行
退職証明書は、従業員が退職した事実を証明するための書類。企業は、従業員の依頼に応じてこの証明書を発行する。退職証明書には、従業員の氏名、退職日、在職期間、職務内容などが記載される。
健康保険の資格喪失手続き
従業員が退職すると、企業は健康保険の資格喪失手続きを行う必要がある。この手続きは、従業員が退職した日から5日以内に行うことが求められる。資格喪失手続きが完了すると、従業員は健康保険の被保険者資格を失い、転職先の健康保険への加入や国民健康保険、または任意継続被保険者制度の利用を検討することになる。
厚生年金の資格喪失手続き
退職に伴い、企業は従業員の厚生年金の資格喪失手続きを行う必要がある。この手続きは、退職日から5日以内に行うことが求められる。資格喪失手続きが完了すると、従業員は厚生年金の被保険者資格を失い、転職先の厚生年金への加入や国民年金への切り替え等を検討することになる。
雇用保険の資格喪失手続き
従業員が退職すると、企業は雇用保険の資格喪失手続きを行う必要がある。この手続きは、退職日から10日以内に行うことが求められる。資格喪失手続きが完了すると、従業員は雇用保険の被保険者資格を失い、失業保険の受給手続きを行うことができる。これにより、従業員は失業中の生活を支えるための給付を受けることが可能となる。
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