労務
労務管理における勤怠管理とは?
2024/10/23
(1)勤怠管理とは
勤怠管理とは、従業員の出勤状況や労働時間を正確に把握し、管理することを指す。企業は、従業員の労働時間を適切に管理することが求められ、これにより労働基準法などの法令を順守し、従業員の健康と安全を確保することができる。
勤怠管理において把握すべき情報には、労働日数、出勤・退勤時間、休憩時間、残業時間、休日出勤の有無などがある。これらの情報を正確に記録し、管理することで、適切な給与計算や労働時間の管理が可能になる。
(2)勤怠管理の目的
勤怠管理の主な目的は、以下のとおり。
- ・労働時間の正確な記録
- 従業員の出勤・退勤時間を正確に把握することで、給与計算の正確性が保たれ、労働時間に関するトラブルを未然に防ぐことができる。また、正確な勤怠データは、労働時間の管理や業務の効率化にも寄与する。これにより、企業は従業員の労働状況を適切に把握し、適切な労働環境を提供することが可能となる。
- ・労働基準法の順守
- 勤怠管理を通じて、法定労働時間や休憩時間、残業時間などの順守状況を確認し、法令違反を防ぐことができる。これにより、企業は法的リスクを回避し、従業員の権利を保護することができる。また、法令順守は企業の信頼性向上にもつながる。
- ・生産性の向上
- 従業員の労働時間や出勤状況を把握することで、業務の効率化や適切な人員配置が可能となる。これにより、無駄な時間やリソースの削減が図られ、生産性が向上する。また、勤怠データを分析することで、業務プロセスの改善点を見つけ出し、さらなる効率化を図ることができる。
- ・コスト管理
- 勤怠管理を通じて、労働時間や残業時間を正確に把握し、人件費の適切な管理が可能となる。これにより、無駄なコストを削減し、経営の効率化を図ることができる。また、適切なコスト管理は、企業の財務健全性を保つためにも重要である。
- ・従業員の健康管理
- 勤怠管理を通じて、過度な労働時間や休暇の取得状況を把握し、従業員の健康を守るための対策を講じることができる。これにより、従業員のモチベーションやパフォーマンスが向上し、企業全体の生産性も向上する。
- ・勤怠データの分析
- 勤怠データを詳細に分析することで、労働時間の傾向や問題点を把握し、適切な対策を講じることができる。これにより、企業はより効率的で健全な労働環境を提供することが可能となる。また、データにもとづく意思決定は、企業の競争力向上にも寄与する。
(3)労働基準法
- ・労働時間の適正な把握
- 企業は従業員の出勤・退勤時刻を正確に記録する義務がある。タイムカードやICカード、パソコンの使用時間など、客観的な記録をもとに労働時間を把握することが求められる。
- ・時間外労働の上限規制
- 36協定で定めることができる時間外労働の上限は月45時間、年360時間。例外として、特別な事情があって労使が合意する場合には、時間外労働で年720時間以内、時間外労働+休日労働で月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内の時間外労働が認められる。(2024年4月まで適用が猶予された「医師」「建設業」「自動車運転者」などについては上限や条件が個別に設定されている)
- ・年次有給休暇の取得義務
- 企業は、6カ月以上、継続的に勤務し、全労働日の8割以上に出勤した従業員に対して、年次有給休暇を付与する義務がある。また、年10日以上の有給休暇が付与された従業員には、少なくとも5日間の有給休暇を取得させる必要がある。
- ※参考:[厚生労働省]年次有給休暇とは
- ・割増賃金の支払い
- 時間外労働、休日労働、深夜労働に対しては、通常の賃金に対して割増賃金を支払う義務がある。時間外労働は25%以上(時間外労働が1カ月60時間を超えた分は50%以上)、休日労働は35%以上、深夜労働は25%以上の割増賃金率が適用される。
- ・休憩時間の付与
- 1日の労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなくてはならない。
(4)勤怠管理の方法
勤怠管理の方法は、主に以下が挙げられる。
- ・タイムカード
- タイムカードは、従業員が出勤時と退勤時にカードを機械に通すことで労働時間を記録する方法。操作が簡単であり、導入コストが比較的かからない。
- ・ ICカード
- ICカードを用いた勤怠管理は、従業員がICカードをカードリーダーにかざすことで労働時間を記録する方法。データを自動で集計できるので、リアルタイムでのデータ確認が容易である。また、カードの偽造が難しく、セキュリティ面でも優れている。
- ・パソコンの使用時間記録
- パソコンの使用時間記録は、従業員がパソコンにログイン・ログアウトする時間を自動的に記録する方法。メリットとして、従業員が特別な操作を行う必要がなく、労働時間が記録される点が挙げられる。また、データを自動で集計できるので、リアルタイムでの確認も容易になる。パソコンを使用しない業務には適用できないため、特定の業種・業務に限定される。
- ・ビーコンによるデータ取得
- Bluetooth Low Energy(BLE)技術を利用して、従業員の出勤・退勤を自動的に記録する方法。従業員がビーコンを携帯し、オフィスや工場などの特定エリアに入ると、ビーコンの信号を受信機が検知し、出勤・退勤時間を自動的に記録する。場所と時刻の情報を自動的に取得するので打刻の手間がない。
- ・勤怠管理システム
- 勤怠管理システムは、専用のソフトウェアを用いて従業員の労働時間を記録・管理する方法。パソコンやスマートフォンで出退勤を打刻する。データの自動集計やリアルタイムでの確認が可能で、労働時間の分析やレポート作成が容易になる。また、クラウドベースのシステムを利用することで、場所を問わずにデータにアクセスすることができる。
これらの方法を組み合わせることで、企業はより効果的な勤怠管理を実現することができる。どの方法が最適かは、企業の規模や業務内容に応じて選択することが重要である。
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