建設業の給料は高い? 平均給料や年代別の給与水準・賃上げのポイントを解説
2026/8/19

建設業は「きつい仕事の割に給料が低い」というイメージを持たれることがある。しかし、近年は人手不足や働き方改革の推進などを背景に、給料は上昇傾向にある。
本記事では、建設業の平均給料や、年代別の給料、給料が低いと言われる理由について解説する。また、企業が賃上げを実現するための取り組みについても解説しているため、ぜひ参考にしてほしい。
本記事のポイント
平均賃金から年収を把握
建設業の平均賃金や年収の目安を解説します。
年代別の給与水準を解説
20代から50代までの給料の傾向を紹介します。
賃上げの方法と課題が分かる
収入アップの方法や企業の取り組みを紹介します。
(1)建設業の平均賃金からみる年収の目安
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、建設業の平均賃金は36万6,300円である。これをもとに単純計算すると、賞与を除く年間給与額の目安は約440万円となる。これに賞与等を加えることで、おおよその年収を把握できる。
ただし、企業規模や賞与の有無・支給額、保有資格、経験年数などによって実際の年収は大きく異なるため、平均的な水準だけでなく、年収に影響する要因についても理解しておくことが重要である。
(2)建設業の年代別の平均給料
建設業の給料は年齢とともに上昇する傾向がある。若手のうちは経験や資格が少ないため給料は比較的低いが、現場経験を積み、資格取得や役職への昇進を重ねることで収入アップが期待できる。
ここでは厚生労働省の統計調査結果をもとに、年代別の平均給料について解説する。
・20代の平均給料
| 年齢層 | 賃金(月額) |
|---|---|
| 20~24歳 | 250,500円 |
| 25~29歳 | 292,800円 |
20代は現場での経験や技術を身につける時期であり、給与水準はほかの年代と比べて低い傾向にある。一方、資格取得やスキル向上によって昇給しやすく、将来的な収入アップが期待できる年代でもある。
・30代の平均給料
| 年齢層 | 賃金(月額) |
|---|---|
| 30~34歳 | 330,900円 |
| 35~39歳 | 361,900円 |
30代になると現場経験が豊富になり、職長や主任などの役職を任されるケースも増える。そのため、20代と比較して給与水準は大きく上昇する傾向にある。資格保有者や管理業務を担う人材は、さらに高い収入を得られるだろう。
・40代の平均給料
| 年齢層 | 賃金(月額) |
|---|---|
| 40~44歳 | 380,500円 |
| 45~49歳 | 397,300円 |
40代は現場の中核人材として活躍する年代であり、施工管理や現場責任者として重要な役割を担うことが多い。経験や専門知識が評価されやすく、建設業のなかでも高い給与水準となる傾向がみられる。
・50代の平均給料
| 年齢層 | 賃金(月額) |
|---|---|
| 50~54歳 | 429,800円 |
| 55~59歳 | 447,200円 |
50代は長年培った経験やマネジメント能力が評価される年代であり、建設業において高い給与水準となる傾向にある。現場管理や経営に近い立場で活躍する人も多く、年代別では収入のピークを迎えるケースが少なくない。
(3)建設業の給料が低いイメージを払拭できない理由
建設業の給料は全産業平均と比べても高い傾向にある。
| 産業 | 賃金(月額) |
|---|---|
| 全産業 | 340,600円 |
| 建設業 | 366,300円 |
しかし「給料が低い」「割に合わない」といったイメージを持つ人は少なくない。その背景には、業界特有の商慣習や労働環境、若手社員の給与水準などが関係している。
ここでは、建設業の給料が低いイメージを持たれやすい理由について解説する。
・多重下請け構造によって利益が現場まで届きにくい
建設業では、元請け企業から下請け企業、さらに孫請け企業へと業務が発注されるケースが多い。このような多重下請け構造では、工事代金が各段階で分配されるため、現場で働く技能労働者に適正な対価が届きにくくなる可能性がある。
その結果、実際の賃金水準よりも「建設業は給料が低い」という印象を持たれやすくなっているのである。
・仕事内容に対して給料が見合わないと感じる
建設業は体力を使う作業が多く、天候の影響を受けながら働く場面も少なくない。また、工期や現場の状況によっては、残業や休日出勤が発生することもある。
そのため、給料自体は平均以上であっても、労働時間や業務負担を考慮すると給料が見合わないと感じる人もいる。こうしたイメージが、「給料が低い」という認識につながる要因の一つである。
・未経験者や若手は給料が低い傾向にある
建設業は経験や資格によって収入が大きく変わる業界である。そのため、入社直後の未経験者や若手社員は比較的低い給料からスタートすることが多い。
一方、経験を積みながら資格を取得し、職長や施工管理などの役職に就くことで収入アップを目指せる。若手の給料が、建設業全体に「給料が低い」というイメージを持たれる要因の一つと考えられる。
(4)建設業の年収をアップするポイント
建設業で年収を上げるためには、日々の業務をこなすだけでは不十分である。ここでは、建設業で収入アップを実現するためのポイントについて解説する。
・実務経験を積み重ねる
建設業は専門的な知識だけでなく、現場で培われる経験が重視される業界である。経験を積むことで作業効率や安全管理能力が向上し、任される業務の範囲も広がる。
さらに、職長や現場責任者などへの昇進につながる可能性も高まるため、着実に実務経験を積み重ねることが年収アップへの近道と言えるだろう。
・資格を取得して規模の大きな仕事に携わる
資格を取得すると担当できる業務の幅が広がり、より規模の大きな工事や責任のある業務を任されやすくなる。例えば、施工管理技士や建築士などの資格は評価されやすく、資格手当の支給対象となるケースもある。資格取得は、現場監督やプロジェクト責任者へのキャリアアップにもつながるため、収入アップを目指す上で有効な手段である。
・給料の高い職種に転職する
一定の実務経験と資格を取得した後は、より高い給料が期待できる職種へ転職する選択肢もある。ただし、管理業務や安全管理など、求められる役割も増えるため、自身のキャリアプランを踏まえて慎重に判断することが大切である。
(5)建設会社が給料を上げるために取り組むべきこと
建設業界では人手不足の深刻化により、賃上げによる人材確保が重要な経営課題となっている。しかし、給料を引き上げるためには十分な利益を確保しなければならない。
ここでは、建設会社が従業員の給料を上げるために取り組むべきことを解説する。
・適正な労務費を確保する
建設会社が継続的に賃上げを行うためには、適正な労務費を確保することが重要である。国土交通省も、適正な労務費の確保や、その原資を技能者の給料へ適切に反映させる取り組みを推進している。
受注時に適正な価格で契約を締結し、原材料費や人件費の上昇分を適切に価格転嫁すれば、賃上げの原資を確保しやすくなるだろう。
・生産性向上によって利益を創出する
人手不足が進む建設業界では、限られた人員で成果を上げるための生産性向上が求められている。そこで、ICTやDXを活用して業務効率化を進めれば、作業時間の短縮や業務負担の軽減につながる。
結果として利益率の向上が期待できるため、その利益を従業員へ還元し、継続的な賃上げを実現しやすくなる。
・労務管理を効率化して働きやすい環境を整える
給料の向上だけでなく、働きやすい環境を整備することも人材確保には重要である。勤怠管理や労務管理を適切に行うことで、長時間労働の是正や業務負担の軽減につながる。
また、従業員満足度や定着率の向上も期待できるため、結果として安定した人材確保と企業成長の実現につながるだろう。
(6)建設業の給料に関するよくある質問
ここでは、建設業の給料に関して多くの人が疑問に感じるポイントについて回答する。就職や転職を検討している人はもちろん、従業員の処遇改善を検討している企業担当者も参考にしてほしい。
(7)まとめ
建設業は「給料が低い」というイメージを持たれることがあるものの、厚生労働省の統計によると、平均賃金は全産業平均を上回る水準にある。また、年齢や経験、保有資格によって収入が上昇しやすく、特に30代以降は給与水準が大きく伸びる傾向がみられる。
一方で、多重下請け構造や労働環境への負担感、若手社員の給与水準などが影響し、「給料が低い」というイメージが根強く残っているのも事実である。そのため、個人としては実務経験の蓄積や資格取得によって収入アップを目指し、企業としては適正な労務費の確保や生産性向上に取り組むことが重要である。
人手不足が深刻化する建設業界では、賃上げと働きやすい環境づくりの両立が今後ますます求められるだろう。従業員の処遇改善と生産性向上を進めることで、企業の持続的な成長と人材確保につなげていくことが大切である。
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