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「医師の働き方改革」で医師は休めるようになったのか? 調査から現場の実態を読み解く

2026/7/13

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「医師の働き方改革」で医師は休めるようになったのか? 調査から現場の実態を読み解く

2024年4月に医師の働き方改革が本格施行され、医師にも時間外労働の上限規制が導入された。長時間労働の是正を目的とした制度であるが、現場では「実際に働き方は改善したのか」という疑問も少なくない。

制度導入から一定期間が経過した現在、医師の勤務実態にはどのような変化が生じているのか。本記事では、最新の調査結果をもとに、医師の働き方の現状と見えてきた課題について整理する。

本記事のポイント

制度導入で管理は前進

労働時間の可視化や勤怠管理の強化など、制度対応は着実に進んでいます。

医師は十分休めていない

若手医師を中心に負担は重く、休暇取得の難しい実態が明らかになりました。

医師の働き方改革は道半ば

業務構造や勤務環境の見直しなど、さらなる改革が求められています。

(1)医師の働き方の現状――「休めるようになった」とは言い切れない実態

医師の働き方改革が進められている一方で、現場では依然として長時間労働や休暇取得の難しさが課題として残っている。制度対応は進んでいるものの、実際の働き方の変化は医療機関や診療科によってばらつきが大きく、一様に改善が進んでいる状態とは言い難い。

・大規模病院ほど休暇取得が難しい傾向

厚生労働省の調査によると、病床規模が大きい病院ほど、年次有給休暇を13日以上取得している医師の割合が低い傾向にある。これは、大規模病院ほど診療需要が高く、人員体制にも制約がある中で、医師が休みを取りにくい構造が存在しているためである。

・若手医師ほど長時間労働になりやすい

医師の時間外労働は年代によっても差があり、20~30代の若手医師ほど長時間労働の割合が高い。30代では、月45時間・年360時間を超える時間外労働の割合が高く、診療の中心を担う層に負担が集中している実態が見てとれる。

・半数以上が「労働時間を減らしたい」と回答

20~40代の医師では、時間外労働を「減らしたい」と考えている割合がいずれも50%を超えている。この結果からも、制度の導入にかかわらず、現場の負担感がなお大きいことが読み取れる。診療の第一線を担う世代では、診療業務に加えて教育や研究、組織運営への関与が求められるケースも多く、業務量そのものが高止まりしている実態がある。

(2)なぜ働き方は変わりにくいのか

では、働き方改革が進められているにもかかわらず、なぜ医師の労働環境は大きく変わりにくいのか。その背景には、医療特有の構造的な要因がある。ここでは、人手不足にとどまらない制度と現場のギャップに着目して整理する。

・時間外労働の主因は「患者対応」

調査では、時間外労働の理由として、全年代で「患者対応・ケア」が最も多く挙げられている。
医療は患者の状態に応じた対応が求められるため、業務量を単純にコントロールすることが難しい。結果として、労働時間を制度で制限しても、実際の業務負荷は大きく変わりにくい構造がある。急性期医療や救急医療では突発的な対応が避けられず、業務量の予測が難しいことも長時間労働の一因となっている。

・収入との関係も影響

時間外労働を「減らしたくない」と回答した医師の理由として、「生活費を確保したい」が最多となっている。時間外手当や副業・兼業によって収入を補っている医師も多く、労働時間の削減がそのまま収入減につながる場合もある。この点は、働き方改革を進める上での大きな制約となり得る。制度上は労働時間の削減が求められる一方で、生活水準やキャリア形成とのバランスが問われるため、単純な時間削減だけでは解決しない問題となっている。

(3)医療現場で起きているもう一つの問題

働き方の改善が進まない背景には、勤務環境そのものの課題もある。当直や夜勤といった勤務形態においては、労働時間だけでは捉えきれない負担が存在する。

・十分に休息できない当直環境

調査では、300床以上の医療機関において、当直・夜勤時に「十分に休息できる環境にない」とする回答が多く見られた。その理由として以下のような基本的な環境面の問題が挙げられている。

  • ‐騒音が大きい
  • ‐設備の清潔さに課題がある
  • ‐トイレやシャワーが整備されていない

これらは一見すると周辺的な問題に見えるが、休息の質に直結し、翌日の業務パフォーマンスや健康状態にも影響を及ぼす要因である。

・働き盛り世代の満足度は低い

働き方に対する満足度を見ると、30代、40代の医師でやや低い傾向が確認されている。長時間労働の中心を担いながら、キャリアや家庭との両立も求められる年代であり、負担の大きさが満足度に影響していると考えられる。こうした層の負担が軽減されなければ、将来的な人材定着や医療提供体制にも影響を及ぼす可能性がある。

(4)医師の働き方改革はどこまで進んだのか

ここまで見てきたように、制度導入によって労働時間の管理や環境整備は進みつつあるものの、医師個人の働き方という観点では、必ずしも大きな改善が実感されているとは言い難い。制度面と現場の実態との間には、依然としてギャップが存在している。

  • ・休暇取得は依然として十分とは言えない
  • ・若手を中心に長時間労働が続いている
  • ・労働時間削減のニーズと収入のバランスに課題がある

こうした状況から、医師の働き方改革は「制度としては進んでいるが、現場の実感としては途上にある」と評価できる。労働時間の管理と実際の業務負担をいかに両立させるかが、現在の大きな課題の一つである。

(5)医師の働き方改革に関するよくある質問

Q1.医師の働き方改革によって、実際に医師の労働時間は減っていますか?

一部では減少傾向が見られますが、現場の実感として大きく改善したとは言い難い状況です。制度導入により労働時間の把握や管理は進んでいますが、患者対応や救急対応など業務特性の影響を受け、長時間労働が続いているケースも少なくありません。特に若手医師や大規模病院では、依然として負担が大きい傾向があります。

Q2.なぜ医師の働き方は制度導入後も変わりにくいのでしょうか?

最大の要因は、業務量を一定にコントロールしにくい医療の特性にあります。患者の状態に応じた対応が求められるため、突発的な業務が発生しやすく、単純な時間管理だけでは負担の軽減につながりにくいです。また、時間外労働が収入の一部を構成している側面もあり、労働時間の削減がそのまま生活への影響につながる点も、変化を難しくしている要因に挙げられます。

Q3.今後、医師が働きやすくなるために必要な取り組みは何でしょうか?

労働時間の管理強化だけでなく、業務のあり方そのものを見直すことが不可欠です。具体的には、タスク・シフト/シェアの推進や人材配置の最適化、勤務環境の改善などを組み合わせた対応が求められます。また、医師個人の負担に依存しない体制への転換が進まなければ、制度の効果は限定的にとどまる可能性があります。

(6)まとめ

医師の働き方改革により、労働時間の上限規制や労務管理の強化は進展している。しかし、今回の調査からは、医師が十分に休める状況に至っているとは言い切れない実態が明らかとなった。

その背景には、患者対応を中心とした業務構造や、収入との関係、勤務環境といった複合的な要因が存在している。今後、働き方改革を実効性のあるものとするためには、制度対応だけでなく、医療の提供体制や業務のあり方そのものを見直していくことが求められるだろう。

業務の分担や役割の再整理を含めた構造的な見直しが進まなければ、持続的な改善にはつながらない可能性が高い。

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