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看護師の時給は実際いくら? 相場・年収構造と人事の賃金設計を解説

2026/6/24

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看護師の時給は実際いくら? 相場・年収構造と人事の賃金設計を解説

看護師の時給は、求人票に記載された時給や月給だけでは把握できない。実際の賃金水準は、基本給に加えて賞与や各種手当、勤務形態など複数の要素によって構成されているためである。人事労務においては、表面的な給与額の比較ではなく、統計データにもとづき年収ベースで捉えた上で賃金水準を設計する視点が求められる。

本記事では、公的統計をもとに看護師の時給水準を年収ベースで整理するとともに、雇用形態や賃金構造による差の見方、人事における適切な賃金設計の考え方を解説する。

(1)看護師の時給相場の基本

看護師の賃金は、基本給に加えて夜勤手当や時間外手当、賞与など複数の要素で構成されている。そのため、時給は求人票の金額だけで判断できるものではなく、年収ベースで捉えた上で逆算する視点が重要になる。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」でも、賃金は「きまって支給する現金給与額(月額)」と「年間賞与その他特別給与額」に分けて集計されている。これらを合算することで年収水準として整理できる。看護師の賃金は、基本給のみではなく賞与を含めた総支給額で評価することが重要である。

そこで、公的統計をもとに、看護師の時給水準と雇用形態による違いを整理する。

・平均賃金からみた時給水準

看護師の賃金は「賃金構造基本統計調査」において、月額給与と年間賞与の合計として年収ベースで捉えることができる。この年収をもとに、労働の対価として支払われる賃金全体を踏まえて時給水準を評価する。

企業規模計(10人以上)の平均値では、月額給与36.59万円、年間賞与85.64万円であり、年収は36.59万円×12カ月+85.64万円=約524.7万円となる。

また、所定内労働時間156時間と超過労働時間6時間を合計した月間162時間をもとに年間労働時間を算出すると、1,944時間となる。先ほど算出した年収を年間労働時間で除すると、時給は約2,700円となる。

ただし、この時給額は平均値にもとづく試算であり、実際の水準は労働時間や手当の構成によって変動する。そのため、時給水準は条件に応じて一定の幅をもって捉える必要がある。

・雇用形態による時給の違い

看護師の賃金は、雇用形態によって水準が異なる。短時間労働者(パートタイム)の場合、同調査では看護師の時給は1,933円(所定内給与額)とされている。さらに、年間の特別給与は11.07万円であり、年間労働時間993.6時間で除すると約111円となる。これを加算すると、時給水準は約2,044円と試算される。

このように、試算上は雇用形態によって一定の差がみられる。

ただし、この試算は所定内給与額に賞与を単純加算したものであり、手当の構成や支給条件の違いまでは反映していない。そのため、フルタイムの時給と単純に比較できるものではない点に留意が必要である。

(2)時給差が生じる構造的要因

看護師の時給は、地域や医療機関の規模、勤務条件によって大きな差がみられる。こうした差は個別の事情にとどまらず、厚生労働省の統計においても確認されている。

その背景には、労働市場における需給環境や医療提供体制の違いが賃金水準に反映されていることがある。また、夜勤や各種手当の有無によって総支給額が変動する点も大きい。ここでは、こうした賃金差の要因について整理する。

・地域や施設による賃金差

賃金構造基本統計調査によると、看護師の月額給与は東京都で39.4万円、神奈川県では37.28万円と、同一職種であっても地域による差がみられる。

また、年間の賞与等についても東京都が84.35万円であるのに対し、神奈川県は75.91万円と差がある。これらを合算した年収ベースでみると、地域差は看護師の時給水準に影響していると言える。

さらに、勤務先の規模による差も明確である。1,000人以上の大規模医療機関では月額給与は38.68万円、年間賞与等は105.71万円であるのに対し、10~99人規模の施設では月額給与33.95万円、年間賞与等は62.42万円にとどまる。年収ベースでは100万円前後の差が生じており、これが時給水準の差として現れている。

・夜勤や手当が与える影響

日本看護協会の「病院看護実態調査」によると、夜勤手当は勤務形態によって異なり、準夜勤では平均約4,500円、深夜勤では約5,700円、2交替勤務では11,800円超となっている。また、手当額には施設や勤務体系によるばらつきがみられる。

看護師には夜勤手当のほかにも、時間外手当、休日勤務手当、資格手当、役職手当など複数の手当が支給されるケースが多い。これらは労働の対価として支払われるものであり、時間外・深夜・休日労働に対する法定の割増賃金も含まれる。

このように、看護師の賃金は手当の占める割合が大きく、基本給のみで比較した場合には実際の収入水準を正確に把握しにくい。そのため、時給換算や賃金比較を行う際には、夜勤手当等を含めた総支給額ベースで評価することが重要となる。

(3)人事担当者が押さえるべき賃金設計の考え方

人事部門における賃金設計では、感覚的な設定ではなく、外部統計との比較を通じて自院の水準を客観的に位置づけることが前提となる。賃金水準は採用競争力や定着率に直結するため、戦略的な人件費管理の観点から設計する必要がある。

・自院の賃金水準の評価方法

賃金構造基本統計調査の平均値や分布を参照することで、自院の賃金水準が市場の中でどの位置にあるかを把握できる。実務上は、単純な平均値との比較にとどまらず、同規模・同地域の施設における分布との比較が重要である。

また、基本給だけでなく、夜勤手当や賞与を含めた総支給額ベースで確認することで、実態に即した水準評価が可能となる。これにより、採用難易度の高い職種における賃金設計の妥当性を検証できる。

・採用競争力を踏まえた賃金設計

医療従事者の採用と定着を安定させるためには、賃金水準の適正化に加え、勤務条件を含めた総合的な待遇設計が不可欠である。

人材獲得競争においては、給与額だけでなく、夜勤体制、業務負荷、休暇取得状況といった要素も比較対象となる。そのため、これらを一体として設計し、賃金と労働環境のバランスを確保することが重要である。このバランスが採用競争力を左右し、人材確保の安定性にも影響する。

(4)看護師の賃金に関するよくある質問

Q1.看護師の時給はなぜ病院によって大きく異なるのですか?

地域差や病院規模、夜勤の有無、経験年数、手当制度などが影響するためです。特に夜勤手当や賞与の割合によって、実際の収入水準は大きく変わります。

Q2.看護師の時給はパート正社員でどちらが高いですか?

一般的には、パートは時給ベース、正社員は賞与や各種手当を含めた年収ベースで構成されるため、単純比較はできません。総支給額でみると、正社員の方が高くなる傾向にあります。

Q3.人事担当者が看護師の賃金設計で重視すべきポイントは何ですか?

給与額だけでなく、夜勤体制や休日数、業務負荷、福利厚生などを含めた総合的な待遇設計が重要です。また、公的統計を活用して市場水準と比較することも欠かせません。

(5)まとめ

看護師の賃金は、基本給だけでなく夜勤手当や賞与などを含む総支給額で構成されており、時給水準も勤務形態や雇用条件によって大きく変動する。そのため、単一の給与指標のみで評価するのではなく、年収換算や手当を含めた総合的な視点で把握することが重要である。

人事労務においては、「賃金構造基本統計調査」などの公的データを活用し、自院の賃金水準を客観的に位置づける必要がある。また、採用競争力の確保には、給与水準だけでなく勤務環境や待遇条件を含めた総合設計が不可欠である。

看護師の賃金設計においては、単純な時給水準ではなく、年収構造と労働条件を一体として捉えた設計視点が求められる。

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