看護師の採用単価の相場は? 目安金額と高騰の理由、コスト削減のポイントを解説
2026/7/29

看護師不足が深刻化する中、多くの医療機関で課題となっているのが「採用単価」の上昇である。特に、人材紹介会社への依存度が高まる昨今では、1人採用するだけでも高額な費用が発生するケースが珍しくない。採用コストの増加は病院経営にも大きな影響を与えるため、適切な採用戦略の見直しが不可欠である。
本記事では、看護師の採用単価の相場を解説する。さらに、高騰する理由や削減方法も紹介するので、採用単価を抑えながら必要な人材を確保したい医療機関の採用担当者はぜひ参考にしてほしい。
(1)看護師の採用単価とは
看護師の採用単価とは、看護師1人を採用するために必要な総費用を指す指標である。近年は看護師不足や採用競争の激化により、採用単価が上昇傾向にある。このような背景から、採用単価を正しく把握することは、費用対効果の高い採用戦略を立てる上で不可欠である。
・採用単価の意味
採用単価とは、1人を採用するためにかかった総費用を示す指標であり、「採用関連費用÷採用人数」で算出される。求人広告費、人材紹介会社への手数料、採用担当者の工数などが含まれる。
病院経営において採用費は人件費と並ぶ重要なコストであり、採用単価の上昇は経営負担に直結する。とりわけ看護師採用では人材不足の影響から採用費用が高騰しやすく、継続的な把握と改善が求められる。
・看護師採用で発生する主な費用
看護師採用では、以下のような費用が発生する。
- ‐求人媒体掲載費
- ‐人材紹介会社への成功報酬
- ‐採用サイト制作費
- ‐説明会やイベント参加費
- ‐面接対応工数
- ‐内定者フォロー費用 など
地方採用では交通費や転居補助が加算される場合もある。採用手法ごとに費用構造は大きく異なるため、自院の状況に応じた設計が重要である。
(2)一般職と比較して看護師の採用単価が高い理由
看護師の採用単価は、一般職と比較して高額になりやすい。背景には構造的な人材不足と採用市場の特性がある。
・国家資格職で母数が限られる
看護師は国家資格職であり、資格取得には専門教育と国家試験合格が必要である。そのため労働供給は短期間で増加しにくく、慢性的な人材不足に陥りやすい。
加えて、資格保有者の中には育児や介護で離職している層も多く、実際の就業人口との差が生じている。この結果、限られた人材を巡る競争が激化している。
・慢性的な人材不足が続いている
日本では高齢化に伴い医療需要が拡大しており、看護師需要も増加し続けている。その一方で少子化によって労働人口は減少しており、看護師確保は年々困難になっている。
総務省統計局によれば、2026年1月1日時点の日本人人口は1億1,925万であり、前年と比べ89.9万人が減少した。さらに65歳以上の人口は3,595.9万人となっており、実に30%以上を占める。厚生労働省は2040年には65歳以上人口が全人口の約35%に達すると推計しており、今後も高齢化の進行が見込まれる。このような人口構造の変化は、看護師需給の逼迫(ひっぱく)を招き、結果として採用コストの上昇圧力を生んでいる。
・人材獲得競争が発生している
看護師を必要とする職場は病院だけでなく、クリニック、介護施設、訪問看護、美容医療など多岐にわたる。とりわけ在宅医療・介護分野の拡大により、採用競争は一層激化している。
また、夜勤負担の少ない施設や高待遇求人に人材が集中する傾向もあり、病院側は待遇改善や紹介会社活用を迫られる。その結果、採用単価の上昇につながっている。
・離職が発生しやすい職種である
看護師は夜勤や不規則勤務、業務負担の大きさなどから離職が発生しやすい職種である。
日本看護協会の調査では、2024年の離職率は、正規雇用で11.0%、新卒採用者で8.4%、既卒採用者で16.1%であり、一定の離職が継続している。離職が増えれば再採用コストが発生するため、採用単価全体を押し上げる要因となる。
(3)看護師の採用単価の相場
看護師の採用単価は、採用手法や地域、募集条件によって大きく異なるため、一律の相場を示すことは難しいものの、おおよその水準として、以下のような傾向が見られる。
- ・
人材紹介
:100万~200万円前後(条件次第で300万円超となるケースもある) - ・
求人媒体
:数十万~100万円未満(掲載課金型・成果報酬型などで変動) - ・
自社採用・リファラル採用
:数万円~数十万円程度(広告費やインセンティブ等)
特に人材紹介会社を利用する場合は、採用者の年収の20~35%程度が手数料として設定されるのが一般的である。例えば年収500万円の看護師であれば、100万円から150万円以上の費用が発生するケースも多く、条件によってはさらに高額になることもある。
一方で、求人媒体や自社採用サイト、リファラル採用などを活用すれば、採用単価を抑えることが可能である。
このように採用手法によってコスト構造は大きく異なるため、自院の採用難易度や人材要件、採用スピードの優先度などを踏まえ、適切なチャネル選定を行う必要がある。
(4)看護師の採用単価を下げる方法
看護師の採用単価を下げるには、単に採用費を削減するのではなく、採用効率を高める視点が重要である。ここでは、看護師の採用単価を抑えるために実践したい具体的な方法を紹介する。
・自院の魅力を明確化し差別化する
自院を選んだ理由や退職理由、待遇・福利厚生などを整理し、競合医療機関と比較することが重要である。
特に、入職者アンケートや退職者ヒアリングを分析することで、実態に即した改善点が明確になる。教育体制や働きやすさ、キャリア支援など非金銭的価値を打ち出すことで、採用力は高まる。
・入社後のミスマッチを防止する
早期離職は、採用単価を押し上げる大きな要因の一つである。採用段階で職場の実態を正確に伝えることが不可欠である。
早期離職が発生すると、再び採用活動を行う必要があり、採用費や教育費が重複して発生してしまう。また、既存職員の負担増加によって職場環境が悪化するリスクもある。
こうした事態を防ぐためにも、採用サイトでの職員インタビューの掲載、動画活用、職場見学・体験などを実施することで、入職後の業務内容や職場環境に関するギャップを最小化できる。
・採用チャネルを見直す
採用単価を抑えるためには、特定の採用手法に依存しないチャネル設計が重要である。人材紹介、求人媒体、自社採用、リファラル採用など、それぞれのチャネルには特性があり、採用難易度やターゲットに応じて適切に使い分ける必要がある。
そのうえで、各チャネルの運用内容も見直すことが求められる。例えば求人媒体においては、媒体ごとに得意な職種や応募者層が異なるため、自院の採用ターゲットと合致しているかを定期的に確認することが大切だ。また、求人情報が古いままでは応募率低下につながるため、待遇や勤務条件、写真などを更新し、最新情報を保つことも欠かせない。
複数チャネルを組み合わせることで特定チャネルへの依存を防ぐことができ、結果として採用単価の適正化につながる。
(5)看護師の採用単価に関するよくある質問
Q1.看護師1人を採用するのにどれくらい費用がかかりますか?
看護師1人あたりの採用費用は採用手法によって大きく異なります。例えば、人材紹介会社を利用した場合は採用者の想定年収の20~35%程度の紹介手数料が発生するケースが一般的です。一方、自社採用サイトや求人サイトからの直接応募で採用できた場合は、比較的低コストに抑えられる可能性があります。
Q2.人材紹介会社を使わない方が良いですか?
人材紹介会社は、条件に合う人材を効率的に紹介してもらえるため、採用活動の負担軽減につながります。ただし、紹介手数料は高額になる場合もあり、依存しすぎると採用費全体が膨らむ原因にもなります。そのため、採用単価を抑えるには、人材紹介会社だけに頼るのではなく、自社採用サイトや求人媒体、リファラル採用など複数チャネルを活用することが重要です。
Q3.採用単価を下げる効果的な方法は何ですか?
採用単価を下げるには、直接応募を増やすことと離職率を抑制することが重要です。自社採用サイトやSNSを活用し、紹介会社を介さず採用できる仕組みを整えることで、採用コストを抑えやすくなります。また、働きやすい環境整備や教育体制強化を進め、自社採用力を高めることも、中長期的な採用単価の削減につながります。
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