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【2026年】年末調整の変更点を解説 基礎控除・扶養要件の見直しと実務上の注意点

2026/10/5

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【2026年】年末調整の変更点を解説 基礎控除・扶養要件の見直しと実務上の注意点

年末調整は、従業員の1年間の所得税額を確定し、源泉徴収した税額との過不足を精算するための重要な手続きである。企業の労務担当者にとっては、毎年対応が必要となる業務であり、税制改正が行われた年は制度の変更内容を正確に把握した上で準備を進めることが求められる。

2026年の年末調整では、「令和8年度税制改正」による所得税制度の見直しが反映される。基礎控除や給与所得控除の引き上げに加え、扶養親族等の所得要件の見直しや年末調整関係書類の様式変更など、実務に影響する改正事項も少なくない。従業員の家族構成や収入状況によっては、適用できる控除や控除額が変わるケースもあるため注意が必要である。

本記事では、2026年の年末調整における主な変更点を整理するとともに、控除額や所得要件の見直し内容、申告書様式の変更点、企業が押さえておきたい実務上のポイントについて解説する。

本記事のポイント

2026年税制改正に対応

基礎控除や給与所得控除が見直しに。

扶養判定基準が変更

対象者や控除額が変わる可能性も。

年末調整の事前準備が重要

申告書・システム対応を早めに確認しましょう。

(1)2026年の年末調整で押さえたい主な変更点

まずは、2026年の年末調整で押さえておきたい主な変更点を確認していく。

  • ・所得税の基礎控除の引き上げ
  • ・給与所得控除の最低保障額の引き上げ
  • ・扶養親族等の所得要件の見直し
  • ・年齢23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例
  • ・年末調整関係書類の様式変更

これらの改正は、いわゆる「年収の壁」対策や物価上昇への対応を目的として実施されたものである。基礎控除や給与所得控除の見直しにより課税最低限が引き上げられるほか、扶養親族や配偶者に関する所得要件も変更されるため、従業員の申告内容によっては適用できる控除や控除額が従来と変わる可能性がある。

なお、2026年分の源泉徴収事務については、11月までの月次処理に変更はなく、改正後の控除額等を反映した精算は12月の年末調整で行うこととされている。そのため、企業の労務担当者は年末調整前に制度改正の内容を把握し、給与システムや申告書様式への対応状況を確認しておく必要がある。

(2)控除額・所得要件はどう変わる?

2026年分の年末調整では、基礎控除や給与所得控除の引き上げをはじめ、扶養親族等の所得要件についても見直しが行われている。主な改正内容を順に確認していく。

・基礎控除が引き上げられる

基礎控除とは、納税者本人の所得から一定額を差し引くことができる所得控除である。2026年分以降は、基礎控除額が58万円から62万円へ引き上げられたほか、一定の所得水準以下の納税者については加算措置が設けられている。

例えば、合計所得金額が132万円以下の場合は基礎控除額が104万円となる。一方、合計所得金額が655万円超2,350万円以下の場合は62万円となるなど、所得区分によって控除額が異なる点に注意が必要である。

・給与所得控除の最低保障額が74万円に引き上げられる

給与所得控除は、給与所得者の必要経費に相当するものとして設けられている控除である。2026年分・2027年分の所得税では、給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円へ引き上げられた。これにより、給与収入が220万円以下の人については、給与所得控除額が74万円となる。

この改正と基礎控除の引き上げにより、所得税の課税最低限も引き上げられている。給与収入のみで、ほかに所得控除等の適用がない場合、所得税が課税されない収入の目安は従来の160万円から178万円へ拡大された。いわゆる「178万円の壁」と呼ばれる改正であり、パートやアルバイト、学生などが従来よりも収入を増やしやすくなることが期待されている。

・扶養親族等の所得要件も見直される

基礎控除の引き上げに伴い、扶養控除等の対象となる扶養親族や配偶者の所得要件も見直された。改正後は、扶養親族や同一生計配偶者などの合計所得金額の上限が58万円以下から62万円以下へ引き上げられる。給与収入のみの場合、扶養控除等の対象となる年収の目安は123万円以下から136万円以下へ拡大される。この改正により、従来は所得要件を超えていた家族が、新たに扶養控除等の対象となる可能性がある。

また、配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得要件も見直された。改正後は、配偶者の合計所得金額が62万円超133万円以下の場合に配偶者特別控除の対象となる。給与収入のみの場合、配偶者特別控除の対象となる年収の目安は136万円超207万円以下となる。

年末調整では、従業員本人だけでなく、配偶者や扶養親族の収入見込みについても改めて確認することが重要である。

・勤労学生控除の要件も緩和される

勤労学生控除についても所得要件の見直しが行われている。従来は合計所得金額85万円以下が要件であったが、2026年分からは89万円以下へ引き上げられた。給与収入のみの場合、勤労学生控除の対象となる年収の目安は150万円以下から163万円以下へ拡大される。

学生を雇用している企業では、従業員本人から税制改正に関する問い合わせを受ける可能性があるため、制度概要を把握しておきたい。

・23歳未満の扶養親族がいる場合は生命保険料控除の特例も

2026年分の所得税では、年齢23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除について特例措置が設けられている。

一般生命保険料控除については、通常4万円である控除上限額が6万円へ引き上げられる。ただし、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除および個人年金保険料控除を合計した場合の控除限度額12万円に変更はない。対象者は限定的ではあるものの、該当する従業員にとっては税負担の軽減につながる可能性があるため、年末調整時に確認しておきたい改正事項の一つである。

(3)申告書様式の変更点

2026年分の年末調整では、基礎控除や扶養親族等の所得要件の見直しに伴い、年末調整で使用する申告書様式にも変更が行われている。年末調整では、従業員から提出された申告書をもとに各種控除の適用判定や税額計算を行うため、担当者は新しい様式の内容を事前に確認しておく必要がある。

・扶養控除等申告書の記載内容が変更される

2026年分以降の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」では、税制改正に対応するため記載事項の一部が見直されている。従来の控除対象扶養親族に代わり、改正後は源泉控除対象親族を記載する様式となった。これにより、一定の要件を満たす特定親族についても申告書への記載が必要である。2026年の改正では扶養親族等の所得要件が引き上げられているため、前年まで所得要件を満たしていなかった親族についても、改めて収入状況を確認する必要がある。

・基礎控除申告書等も最新版の様式を使用する

年末調整では、「基礎控除申告書」「配偶者控除等申告書」「特定親族特別控除申告書」「所得金額調整控除申告書」が一体となった様式を使用する。2026年分については、「令和8年度税制改正」に対応するため、国税庁が公表している最新の様式を使用しなければならない。

基礎控除額は所得区分によって適用額が異なるため、従業員本人の年間の合計所得金額の見積額にもとづいて適切に判定する必要がある。配偶者控除や特定親族特別控除の判定においても所得要件が変更されているため、前年と同じ感覚で記入すると控除の適用判断を誤りかねない。

・保険料控除申告書にも注意が必要

2026年分の所得税では、年齢23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除について特例措置が設けられている。これに伴い、保険料控除申告書では扶養親族の年齢や適用要件の確認が必要になるケースがある。該当する従業員については、控除証明書だけでなく扶養親族の状況についても確認しておきたい。

ただし、この特例はすべての従業員が対象となるわけではないため、対象者へ個別に周知を行う方法も有効である。

(4)企業の実務対応と注意点

2026年分の年末調整では、従来とは異なる判定基準や申告書様式への対応が必要となる。制度改正を正しく反映するため、企業は事前準備を進めておきたい。

・給与システムや年末調整システムの対応状況を確認する

税制改正に伴い、基礎控除額や給与所得控除額、扶養親族等の判定基準が変更されている。多くの企業では給与システムや年末調整システムを利用して税額計算を行っているため、改正内容がシステムへ正しく反映されているかを確認する必要がある。

自社向けにカスタマイズを行っているシステムについては、標準機能のアップデートだけでは対応できない場合もある。年末調整直前になって設定変更が必要になるケースも考えられるため、ベンダーからの案内やアップデート情報は早めに確認しておきたい。

・扶養親族や配偶者などの所得確認を徹底する

2026年分の改正では、扶養親族や同一生計配偶者などの所得要件が緩和されている。そのため、前年までは控除対象外だった家族が、新たに控除対象となる可能性がある。

ただし、従業員本人が制度改正を十分に理解しておらず、従来どおりの認識で申告してしまうケースも考えられる。大学生の子どもやパート勤務の配偶者がいる従業員については、年間収入の見込みが扶養判定に影響するため、最新の収入状況を確認した上で申告を行うよう周知しておきたい。

・制度改正の内容を従業員へ早めに周知する

年末調整業務では、申告漏れや書類の提出遅延が毎年の課題となる。2026年分は従業員に関係する制度改正が多いため、事前周知を徹底したい。

事前に案内しておきたい事項は以下のとおりである。

  • ‐扶養要件が変更されたこと
  • ‐新しい申告書様式を使用すること
  • ‐年間収入の見込みを確認する必要があること
  • ‐書類の提出期限

制度改正のポイントを整理した案内資料を配布しておけば、問い合わせ対応の負担軽減にもつながる。

・提出前のチェック体制も見直したい

税制改正が行われた年は、従業員の記載ミスや申告漏れが増加する傾向にある。2026年分は扶養親族等の所得要件が変更されたことで、以下のようなケースが想定される。

  • ‐控除対象と考えていなかった親族が対象になる
  • ‐収入見込みの記載を誤る
  • ‐特定親族特別控除の申告漏れが発生する

年末調整業務を円滑に進めるためにも、申告書配布時に改正ポイントをまとめた案内文を添付するなど、従業員が正しく申告できる環境を整えておきたい。

・年末調整前にスケジュールを見直しておく

2026年分の年末調整では、制度改正への対応や申告内容の確認により、例年よりも確認作業が増えることが予想される。扶養親族等の所得要件の変更に伴い、担当者が個別に確認するケースも増える可能性がある。そのため、書類配布や申告受付の時期を前倒しし、確認期間に余裕を持たせることが望ましい。

差し戻しや記入漏れへの対応を見越してスケジュールを組んでおくことで、年末の業務集中による負担を軽減できる。

・制度改正を機に年末調整の電子化も検討したい

国税庁では、年末調整手続きの電子化に向けた取り組みを進めている。電子化によって申告書の配布・回収や控除証明書の確認作業を効率化できるため、担当者の事務負担軽減も期待できる。

今回のように申告書様式や判定基準が変更される年は、電子申告システムを活用することで、最新様式への対応や入力チェックを効率的に行える場合がある。

労務担当者にとっては、単に今年の年末調整へ対応するだけでなく、今後の業務効率化を見据えて運用方法を見直す機会である。

(5)2026年の年末調整でよくある質問

Q1.扶養控除や配偶者控除の判定はいつ時点で行うのでしょうか?

原則として、その年の12月31日時点の状況を基準に判定します。

扶養控除や配偶者控除の適用可否は、年間の所得金額だけでなく、12月31日時点で生計を一にしているかなどの要件を満たしているかによって判断されます。そのため、年の途中で扶養親族が就職または退職した場合でも、年末時点の所得や家族の状況によっては控除を受けられることがあります。

Q2.年末調整後に扶養親族の所得が判明し、申告内容に誤りがあった場合はどうなりますか?

年末調整後に誤りが判明した場合は、内容や時期に応じて、再年末調整や確定申告による修正が必要になる場合があります。

例えば、扶養親族の年間所得を過少に見積もっていた結果、本来は扶養控除を受けられなかったことが後から判明するケースが挙げられます。このような場合には、追加で所得税を納付しなければならない可能性があります。一方、控除の適用漏れがあった場合は、確定申告を行うことで税額の還付を受けられることがあります。

Q3.年末調整を受けた従業員でも確定申告が必要になることはありますか?

あります。一般的な会社員であれば年末調整によって所得税の精算は完了しますが、次のようなケースでは確定申告が必要です。

  • ・給与収入が2,000万円を超える場合
  • ・副業など給与以外の所得が20万円を超える場合

このほか、2カ所以上から給与を受けている場合など、一定の要件に該当する際にも確定申告が必要となることがあります。年末調整を受けていても、別途確定申告が必要になるケースがあることを理解しておきましょう。

Q4.年末調整を受けた従業員が確定申告をした方がよいケースはありますか?

あります。年末調整では対応できない所得控除や税額控除については、確定申告を行うことで適用を受けられます。

代表的なものは次のとおりです。

  • ・医療費控除を受ける場合
  • ・住宅ローン控除を初めて受ける場合
  • ・ふるさと納税をしたがワンストップ特例制度を利用していない場合

これらは年末調整では処理できないため、控除を受けるには原則として確定申告が必要です。従業員から問い合わせがあった際には、年末調整だけで手続きが完結しないケースがあることを案内するとよいでしょう。

Q5.2026年の改正で、企業が特に注意すべきポイントは何でしょうか?

最も注意したいのは、前年の申告内容をそのまま前提にしないことです。

2026年分の年末調整では、基礎控除や給与所得控除の引き上げに加え、扶養親族や配偶者に関する所得要件も見直されています。そのため、前年は控除対象外だった親族が新たに控除対象となるケースや、適用できる控除額が変わるケースがあります。

また、申告書様式も変更されているため、従来の運用のまま年末調整を進めると、申告漏れや誤判定につながる恐れがあります。制度改正の内容を従業員へ周知するとともに、給与システムや年末調整システムが最新制度に対応しているかを事前に確認しておくことが重要です。

(6)まとめ

2026年の年末調整では、「令和8年度税制改正」により、基礎控除や給与所得控除の引き上げ、扶養親族等の所得要件の見直し、生命保険料控除の特例措置などが適用される。また、これらの制度改正に対応するため、年末調整関係書類の様式も変更されている。

今回の改正によって、これまで扶養控除や配偶者控除等の対象とならなかった親族が新たに対象となるケースや、適用できる控除額が変わるケースも想定される。そのため、前年の申告内容をそのまま前提とするのではなく、配偶者や扶養親族の収入状況を改めて確認することが重要である。

また、給与システムや年末調整システムが最新の制度に対応しているかを確認するとともに、従業員への周知や申告書の配布を早めに進めておきたい。制度改正が行われる年は申告漏れや記載ミスが発生しやすいため、確認体制を整えた上で計画的に年末調整業務を進めることが求められる。

2026年分の年末調整を円滑に進めるためにも、労務担当者は国税庁が公表している最新の情報を確認しながら、制度改正への対応を早めに進めておくことが重要である。

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