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介護休暇・介護休業とは? 制度の違いと人事労務担当者が押さえるべきポイントを解説

2026/10/29

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介護休暇・介護休業とは? 制度の違いと人事労務担当者が押さえるべきポイントを解説

介護休暇・介護休業は、育児・介護休業法にもとづく法定の制度であり、企業には適切な対応が求められる。一方で、介護休暇と介護休業は名称が似ているものの制度内容は大きく異なる。さらに法改正もたびたび行われているため、違いを正確に理解できていない担当者も少なくない。

本記事では、介護休暇・介護休業の内容や違い、給付金、企業側が対応すべきポイント、そして最新の法改正までを解説する。ぜひ、本記事を自社の就業規則の改訂や運用の点検に役立ててほしい。

本記事のポイント

介護休暇と介護休業の違い

取得日数や利用目的の違いを整理して解説します。

2025年法改正への対応

個別周知や雇用環境整備などの義務を解説します。

企業が押さえるべき実務対応

給付金や助成金、人事労務上の注意点を紹介します。

(1)介護休暇・介護休業とは

「介護休暇」と「介護休業」は名称が似ているため、違いを正確に説明できない担当者も少なくないだろう。ここでは、両制度の基本的な違いと、対象となる家族の範囲を整理する。

・介護休暇と介護休業の違い

介護休暇と介護休業は、いずれも育児・介護休業法にもとづき、要介護状態にある家族を介護する労働者が取得できる法定の休暇制度である。介護休暇は対象家族1人につき年5日(2人以上で年10日)まで取得できる短期の休暇であるのに対し、介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、3回に分割して取得できる長期の休業である。

介護休暇は通院の付き添いなど突発的・短時間の用事に、介護休業は施設入所や在宅介護の体制づくりなど、まとまった準備期間が必要な場面に活用するのが基本的な使い分けとなる。

・対象となる家族の範囲と「要介護状態」の判断基準

対象家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫であり、いずれも同居や扶養の有無を問わない。

「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態を指し、介護保険の要介護認定を受けていなくても、介護休暇や介護休業を取得できる。具体的には、介護保険制度の要介護状態区分で要介護2以上に該当するか、心身の状態に関する12項目のうち一定数以上に該当する場合に、この要件を満たすと判断される。

(2)介護休暇の内容

ここでは、介護休暇の具体的な取得日数や条件を整理する。

・取得できる日数と単位

介護休暇は、対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日まで取得できる。取得単位は1日単位、時間単位のいずれも選択でき、通院の付き添いや役所での手続きなど、数時間だけ休みたいというケースにも柔軟に対応できる。介護休暇の対象となる「介護」には、直接的な身体介護だけでなく、通院の付き添いや介護保険の手続き代行といった間接的な支援も含まれる。

・取得条件と2025年4月の要件緩和

介護休暇は、日雇い労働者を除き、雇用形態にかかわらず原則としてだれでも取得できる。ただし、労使協定を締結している場合は、「1週間の所定労働日数が2日以下の労働者」などを対象外にできる。従来は「入社6カ月未満の労働者」も労使協定による除外対象とされていたが、2025年4月の法改正によりこの要件は廃止され、入社直後の従業員でも介護休暇を取得しやすくなった。

(3)介護休業の内容

ここでは、介護休業の取得日数と、活用したい介護休業給付金について整理する。

・取得できる日数と回数

介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、最大3回に分割して取得することができる。1年間で93日ではなく、対象家族の状態に応じて「入院直後」「退院前後」「在宅介護導入時」のように、複数回に分けて活用できる点が特徴である。有期雇用労働者も介護休業を取得できるが、休業終了後も一定期間雇用が継続する見込みがあることが必要である。介護休業開始予定日から93日を経過する日から6カ月以内に契約が満了し、更新されないことが明らかな場合は対象外となる。

・介護休業給付金の支給要件と支給額

介護休業中の賃金について法律上の定めはなく、無給としている企業も少なくない。ただし、雇用保険の被保険者は一定の要件を満たすことで「介護休業給付金」を受給できる。支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で計算される。主な要件として、介護休業開始前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上あることなどが求められる。なお、給付金には上限額が設けられており、毎年8月1日に見直しが行われる。

(4)介護休暇・介護休業中の給与と社会保険料の扱い

休暇取得時に従業員から質問されることが多い給与や社会保険料の扱いについて整理する。

・給与は原則無給、有給とするかは企業判断

介護休暇・介護休業中の給与について、法律上の支払い義務は定められておらず、有給とするか無給とするかは各企業の就業規則に委ねられている。実務上は無給としている企業が多いが、従業員の中には、介護休暇よりも年次有給休暇を優先して使うケースも少なくない。従業員が介護と仕事を両立しやすい環境を整えるという観点から、介護休暇を有給扱いとすることも一つの選択肢として検討に値する。

・社会保険料や住民税は免除されない

育児休業とは異なり、介護休業中は社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の免除制度が設けられていない。そのため、介護休業を無給で取得した場合でも、社会保険料の負担は継続する。なお、住民税は前年の所得にもとづいて課税されるため、育児休業・介護休業のいずれの場合も納付が必要である。企業によっては、休業中の保険料を一時的に立て替えるなどのサポートを行うケースもあるため、従業員へ事前に説明し、必要に応じて対応を検討しておくことが望ましい。

(5)企業が対応すべきポイント

ここでは、介護休暇・介護休業に関して、企業側が法律上求められる対応を整理する。

・事業主は申し出を原則として拒否できない

育児・介護休業法により、事業主は介護休暇や介護休業の申し出を原則として拒否することができない。従業員から適法な申し出があった場合は、制度の利用を認める必要がある。管理職世代にあたる40代~50代の従業員が介護に直面するケースも多いため、制度の対象者や申請手続きについて社内で正しく周知しておくことが重要である。

・介護休暇や介護休業の取得を理由とする不利益取扱いは禁止

育児・介護休業法では、介護休暇や介護休業の取得を理由とした解雇その他の不利益な取扱いを禁止している。解雇だけでなく、降格や減給、賞与の減額といった不利益な人事措置も認められない。企業には法令を順守するとともに、管理職を含めて制度への理解を深め、不利益取扱いが発生しない環境を整備することが求められる。

・短時間勤務などの措置を講じる義務がある

企業は、介護を行う従業員に対して、短時間勤務制度やフレックスタイム制度、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、介護サービス費用の助成などの措置のうち、いずれか1つ以上を講じなければならない。これらの措置は、利用開始日から連続する3年以上の期間で2回以上利用できる内容とする必要がある。(介護サービス費用の助成措置は1回にすることが可能)

・時間外労働や深夜労働の制限に対応する

介護を行う従業員から請求があった場合、事業主は事業の正常な運営を妨げる場合を除き、時間外労働や深夜労働を制限しなければならない。時間外労働は1カ月24時間、1年150時間を超えて命じることができず、また午後10時から午前5時までの深夜労働も原則としてさせてはならない。

・2025年4月に義務化された個別周知と雇用環境整備

2025年4月からは、育児・介護休業法の改正により、介護に直面した従業員への個別の周知・意向確認や、40歳に達した従業員への介護休業制度等に関する情報提供、そして研修や相談窓口の設置といった雇用環境整備の措置が、新たに事業主の義務として追加されている。制度の存在を知らないまま介護離職を選んでしまう従業員を減らすため、これらの義務への対応状況を改めて確認しておきたい。

(6)企業が活用できる助成金制度「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」

厚生労働省は、従業員の介護休業の取得・職場復帰や、介護のための柔軟な就労形態の制度導入を行った企業に対し、「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」による支援を行っている。

例えば、介護休業の取得・職場復帰を支援した場合は40万円、時差出勤制度や短時間勤務制度、在宅勤務制度などの介護両立支援制度を導入し、従業員が利用した場合は20万円または25万円の助成を受けられる。さらに、介護休業取得者の業務代替要員を新たに雇用した場合や、代替業務を担う従業員へ手当を支給した場合、有給の介護休暇制度を導入し従業員が利用した場合にも助成対象となる。

助成金を受給するためには、介護休業の取得・職場復帰支援に関する方針の社内周知や、従業員との面談による「仕事と介護の両立支援プラン」の作成・実施など、一定の要件を満たす必要がある。

支給額や要件は年度によって見直されるため、活用を検討する際は、申請時点での最新の支給要件や支給額を厚生労働省の公式情報で確認したい。

(7)介護休暇・介護休業に関するよくある質問

Q1.従業員から申し出があった際、どこまで証明書類を求めてよいでしょうか?

事業主は、対象家族の氏名や続柄、要介護状態にある事実などを申出書で確認することができ、必要に応じて証明書類の提出を求めることも認められています。ただし、介護休暇は突発的な事情で当日の申し出となるケースが多く、書類の提出を取得の前提条件とすることはできません。

また、要介護認定を受けていない場合でも要介護状態と判断されうるため、介護保険被保険者証の提出を一律に必須とする運用は適切ではありません。事後提出を認める、口頭での申し出を受け付けるなど、実態に即した運用を規程に定めておくとよいでしょう。

Q2.介護休暇と年次有給休暇は、どちらを優先して使わせるべきでしょうか?

どちらを利用するかは従業員が判断するものであり、事業主が指定することはできません。介護休暇の申し出があった際に年次有給休暇の取得を促すことは、介護休暇の利用を抑制する行為と受け取られる恐れがあります。

実務上は、介護休暇を無給としている企業が多いため、まず年次有給休暇を取得し、その後に介護休暇を利用する従業員も少なくありません。人事労務担当者としては、制度の違いや賃金の取り扱いを従業員へ適切に説明し、本人が状況に応じて選択できる環境を整えることが重要です。

Q3.介護休業中の従業員と、どの程度連絡を取ってよいでしょうか?

介護休業中の従業員に対して、業務対応を求める連絡や、職場復帰を急がせるような働きかけは避けるべきです。一方で、休業期間中にまったく連絡を取らない場合、従業員の状況や復職の見通しを把握しにくくなることもあります。

そのため、休業に入る前に、連絡の方法や頻度、確認事項などをあらかじめ話し合っておくことが望ましいです。例えば、「月に1回程度、近況確認のために連絡を取る」「復職時期が見えてきた段階で面談を実施する」といったルールを決めておけば、従業員も安心して休業しやすくなります。

人事労務担当者としては、従業員の負担に配慮しながら、必要な情報共有や復職支援が行える関係を維持することが重要です。

(8)まとめ

介護休暇と介護休業は、いずれも育児・介護休業法にもとづく制度だが、取得できる日数や利用目的は異なる。介護休暇は通院の付き添いや各種手続きなど短時間・短期間の介護に、介護休業は介護体制を整えるためのまとまった期間の確保に活用される制度である。

企業は従業員からの適法な申し出を原則として拒否できず、取得を理由とした不利益取扱いも禁止されている。また、短時間勤務等の措置や時間外労働の制限への対応、2025年4月に義務化された個別周知・意向確認や雇用環境整備など、人事労務担当者が対応すべき事項は少なくない。

介護を理由とした離職を防ぐためには、制度を整備するだけでなく、従業員が必要なときに利用できる環境づくりも重要である。自社の就業規則や運用ルールが最新の法令に対応しているかを確認するとともに、勤怠管理や休暇管理、各種申請業務を適切に運用できる体制づくりも進めていきたい。

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