休日出勤で代休なしは違法? 代休と振替休日の違い、割増賃金のルールを解説
2026/8/5

休日出勤をしたにもかかわらず、代休が与えられないことに疑問や不満を感じている人は少なくない。しかし、休日出勤後に代休がないからといって、必ずしも違法になるわけではない。重要なのは、代休の有無ではなく、休日労働に対する割増賃金が適切に支払われているかどうかである。
本記事では、代休と振替休日の違い、休日出勤が違法となるケース、休日出勤手当の計算方法について分かりやすく解説する。
本記事のポイント
代休なしでも直ちに違法ではない
代休付与の義務はなく、割増賃金の支払いが重要です。
代休と振替休日は制度が異なる
休日労働の成立や割増賃金の扱いに違いがあります。
違法性は36協定などで判断される
協定未締結や範囲超過の休日労働は問題となることがあります。
(1)代休とは
代休とは、休日出勤をした従業員に対し、その代わりとして別の日に休みを与える制度である。休日出勤による負担を軽減する目的で設けられることが多く、実際に休日労働を行った後に休みを取得する点が特徴である。
(2)代休と振替休日の違い
代休と振替休日はどちらも休日出勤に関連する制度であるが、法律上の取り扱いは大きく異なる。また、休日出勤後に代休が与えられなかったとしても、それだけで違法となるわけではない。
ここでは、代休と振替休日の違いや、休日出勤後の代休付与に関する考え方について解説する。
・代休とは休日出勤後に与えられる休み
代休とは、休日労働が行われた後に、その代償として別の労働日を休みにする制度である。休日出勤後に休みを付与する仕組みであり、事前に休日を移動させるものではない。
そのため、休日労働は成立したままとなる。法定休日に出勤した場合は、後日代休を取得したとしても、休日労働に対する35%以上の割増賃金を支払わなければならない。
・振替休日とは事前に休日を入れ替える制度
振替休日とは、あらかじめ休日と定められていた日を労働日に変更し、その代わりに別の日を休日とする制度である。事前に休日を移動させるため、振替後の勤務日は休日出勤ではなく通常の労働日として扱われる。
そのため、法定休日労働に対する35%以上の割増賃金は発生しない。ただし、振替によって週40時間の法定労働時間を超えた場合は、時間外労働として25%以上の割増賃金が必要となる。
・休日出勤後に代休を与える法的義務はない
法律上、企業には休日出勤をした従業員へ代休を付与する義務はない。そのため、休日出勤後に代休が与えられなかったとしても、それだけを理由に労働基準法違反となるわけではない。
一方で、法定休日に労働させた場合は、代休の有無にかかわらず休日労働に対する割増賃金を支払う必要がある。また、就業規則や労働契約で代休制度を定めている場合は、その内容に従って適切に運用しなければならない。
(3)休日出勤や代休対応が問題となるケース
休日出勤そのものは法律で認められているが、法令や就業規則に反した運用が行われた場合は問題となる可能性がある。
ここでは、休日出勤や代休対応が問題となる主なケースについて解説する。
・就業規則等で代休取得の権利が認められているケース
労働契約書や就業規則などで、休日出勤をした従業員に代休を付与すると定めている場合、会社はそのルールに従わなければならない。代休制度は法律上の義務ではないものの、就業規則や労働契約などで定めた以上は、労働条件の一部となる。
そのため、正当な理由なく代休を認めなかった場合は、就業規則や労働契約に反する可能性がある。
・36協定が締結されていないケース
36協定が締結されていない場合、会社は従業員に法定休日の労働を命じることができない。36協定は、時間外労働や休日労働を行うために必要な労使協定であり、労働基準監督署への届出が必要である。
そのため、36協定がない状態で法定休日の労働を命じた場合は、割増賃金を支払っていても違法な休日労働となる可能性がある。
・36協定の範囲を超えているケース
36協定を締結していたとしても、その協定で定めた休日労働の範囲を超えて労働させた場合は、36協定違反となる可能性がある。
また、労働基準法第35条では、使用者は労働者に対して毎週少なくとも1回の休日、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないと定めている。そのため、休日出勤が続き、法定休日を確保できていない場合は、労働基準法違反となる可能性がある。
(4)休日出勤手当の算出方法
一般的に「休日出勤手当」と呼ばれるものは、法定休日に労働した場合に支払われる休日労働の割増賃金を指す。一方、所定休日に勤務した場合は法定休日割増の対象とはならないものの、週40時間を超える労働となった場合には時間外労働として25%以上の割増賃金が必要となる。
ここでは、休日出勤手当の基本的な計算方法について解説する。
・所定賃金を算出する
休日出勤手当は時間単位で計算されるため、まずは1時間当たりの所定賃金を算出する必要がある。月給制の場合は、月給を月間の所定労働時間で割ることで計算できる。
例えば、月給24万円で月の所定労働時間が160時間の場合、1時間当たりの所定賃金は1,500円となる。休日出勤手当を計算する際は、この金額を基準として用いる。
・所定賃金に労働時間と割増賃金率を掛ける
1時間当たりの所定賃金を算出した後は、休日出勤した時間数と割増賃金率を掛けて計算する。
例えば、所定賃金が1,500円で法定休日に8時間勤務し、割増賃金率を35%とした場合の計算式は次のとおりである。
1,500円 × 8時間 × 35% = 4,200円(休日出勤手当)
法定休日における労働については、35%以上の割増賃金を支払う必要があるため、企業は法令に沿って適切に計算しなければならない。
・時間外労働に該当するか確認する
振替休日を利用して休日を事前に変更した場合は、法定休日労働には該当しないため、休日労働に対する35%以上の割増賃金は発生しない。
ただし、振替後の勤務によって週40時間の法定労働時間を超えた場合は、時間外労働として25%以上の割増賃金が必要となる。
例えば、所定賃金が1,500円、割増賃金率が25%の場合、法定労働時間を超えた時間については「1,500円 × 25% × 超過時間」で時間外労働に対する割増賃金額を算出できる。
(5)代休なしの休日出勤に関するよくある質問
休日出勤や代休制度については、法律上のルールと会社ごとの運用が異なるため、疑問を抱く人も多い。ここでは、代休なしの休日出勤に関して、よく寄せられる質問とその回答を紹介する。
Q1.休日出勤したのに代休も手当もないのは違法ですか?
代休が与えられないこと自体は違法ではありません。しかし、法定休日に出勤したにもかかわらず休日労働に対する割増賃金が支払われていない場合は、労働基準法違反となる可能性があります。違法かどうかを判断するためには、法定休日か所定休日か、また割増賃金が適切に支払われているかを確認することが重要です。
Q2.代休を取得できる期限はありますか?
労働基準法では、代休を取得できる期限について明確な定めはありません。そのため、代休の取得時期は企業ごとの運用に委ねられています。
就業規則や労使協定で取得期限を設けているケースもあるので、自社のルールを確認することが大切です。取得できない状態が続く場合は、上司や人事担当者に相談するとよいでしょう。
Q3.休日出勤を断れますか?
就業規則や労働契約に休日出勤命令に関する規定があり、その命令が労働基準法などの法令に沿っている場合は、原則として従業員が一方的に拒否することは難しいと考えられます。
一方で、36協定が締結されていない場合や、協定の範囲を超えた休日出勤を命じられている場合は問題となる可能性があります。まずは就業規則や労働条件を確認することが重要です。
Q4.休日出勤の代わりに年次有給休暇を取得できますか?
年次有給休暇を取得すること自体は可能です。ただし、年次有給休暇は従業員に認められた権利であり、休日労働に対する補償とは別の制度です。
そのため、休日出勤をした後に年次有給休暇を取得したとしても、休日労働に対する割増賃金の支払い義務がなくなるわけではありません。
また、会社が休日出勤の補償として一方的に年次有給休暇の取得を指示することもできません。休日労働の取り扱いや年次有給休暇の取得ルールについては、就業規則などを確認することが大切です。
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